Boxは11月5日(米国時間)、米サンフランシスコで開催した年次イベント「BoxWorks 2026」において、企業向けAIに関する複数の新機能やソリューションを発表した。AIエージェントを用いて業務プロセスを自動化する「Box Architect」のほか、NVIDIAとの協業拡大、銀行・公共機関・メディア&エンターテインメント向けの「Box for Industries」、AIエージェントの利用を想定したセキュリティ機能などを展開する。
AIエージェントで業務プロセス全体を自動化
Box Architectは、AIエージェントを活用したワークフローの構築・管理・最適化を支援する機能。ユーザーが実現したい業務プロセスや目的を自然言語で説明すると、Box内のコンテンツや業務手順に基づき、各ステップや判断、担当者への引き継ぎなどを含むワークフローを構築する。
「Box Extract」「Box Automate」「Box Apps」「Box Forms」などとも連携し、人による確認・承認を含む複数工程の業務を自動化できる。契約書レビューや顧客オンボーディング、許認可、保険金請求といった業務への活用を想定する。
AIモデルは工程に応じて選択可能で、Anthropic、OpenAI、Google、NVIDIA、IBMなどのモデルを使い分けられる。簡単な処理には低コストなモデル、複雑な推論には高性能なモデルを利用するといった運用が可能になる。同機能は2026年11月以降、Enterprise Advancedユーザー向けにベータ版として順次提供する。
NVIDIA連携を拡大、検索精度20%向上
BoxはNVIDIAとの協業も拡大する。企業が保有する非構造化コンテンツから、AIエージェントが必要とする情報を取得する「Box Context Retrieval」を提供する。
同機能では「NVIDIA Nemotron Retriever」の埋め込みモデルを活用し、数百万ファイルの中からユーザーのアクセス権限を踏まえて関連情報を検索する。テキストのほか、スキャン文書や画像、音声、動画も対象となる。
Boxによると、従来方式と比較して検索精度(Recall@5)を20%向上させると同時に、トークン使用量を90%削減し、質問応答速度を4倍にできる可能性を確認したという。Box Context Retrievalは2027年初頭にEnterprise Advancedユーザー向けに一般提供する予定。あわせて、「NVIDIA Nemotron 3 Ultra」などのオープンウェイトモデルもBox AIに追加する。
業界特化型AIとセキュリティ機能も強化
業界別の業務にAIを組み込む「Box for Industries」では、第1弾として「Box for Banking」「Box for Public Sector」「Box for Media & Entertainment」の提供を開始。銀行では顧客オンボーディングや融資申請、公共分野では許認可や公文書開示請求、メディア分野では脚本・契約・動画レビューなどの業務を支援する。
国内では農林中央金庫がBoxを活用した契約書レビューを導入し、レビュー時間を約88%短縮したという。Boxは今後、法務、保険、ライフサイエンス、教育、小売などにも業界特化型ソリューションを拡大する。
また、AIエージェントの普及を踏まえてセキュリティも強化する。大量のデータ持ち出しや不審な共有、大量削除などを検知し、深刻度に応じてダウンロード制限や追加認証、セッション終了などを実行する機能を2027年初頭から提供する予定だ。
さらに、AIエージェントがアクセスできるコンテンツを分類ベースで管理するほか、「MCPガードレール」により、コンテンツの作成・移動・外部共有など、エージェントが実行できる操作を制御する。こうした機能を通じて、企業コンテンツをAIのコンテキストとして活用しながら、AIエージェントによる業務実行までを安全に支援する方針だ。

