この半導体ニュースのまとめ

・DHLが北海道千歳市に半導体産業向け物流施設を竣工
・新千歳空港から約6分、次世代半導体拠点から20分以内に立地
・2027年2月に本格稼働し、保管や構内物流、部品配送などを提供

DHLサプライチェーンジャパンは11月6日、北海道千歳市に建設を進めてきた半導体産業向け物流施設「DHL千歳ロジスティクスセンター」が竣工したことを発表した。2027年2月の本格稼働に向け、準備を進めている。

同社は、次世代半導体の研究開発・製造拠点の整備を背景に、国内外の半導体関連投資が進む北海道で拡大する物流需要に対応するため、2025年8月に同センターの建設へ着手していた。

所在地は新千歳空港ICの近くに位置し、新千歳空港から車で約6分、次世代半導体の研究開発・製造拠点からも車で20分以内という立地を生かし、北海道の半導体サプライチェーンを物流面から支援する。

  • DHL千歳ロジスティクスセンター
  • DHL千歳ロジスティクスセンター
  • DHL千歳ロジスティクスセンター
  • DHL千歳ロジスティクスセンターの外観と内部の様子 (出所:DHLサプライチェーンジャパン)

装置や材料の保管から部品配送まで対応

DHL千歳ロジスティクスセンターでは、半導体製造装置メーカーや材料サプライヤなどに対し、在庫保管、構内物流、エンジニアリングパーツのオンデマンドデリバリといったサービスを提供する予定。

半導体工場では、製造装置や材料に加え、装置の保守・修理に使用する部品を必要な時に供給できる体制が求められる。部品の到着が遅れれば、製造装置の停止時間が長期化し、生産計画へ影響を及ぼす可能性がある。

新施設では、複数企業が利用できるマルチユーザー型施設として、製造装置メーカーや材料メーカーなどの在庫を半導体製造拠点の近くで保管する。必要な部品を要求に応じて現場へ届けることで、設備保守に必要なリードタイムの短縮や在庫配置の最適化を支援する。

また、新千歳空港への近接性を生かし、国内外から航空輸送された製造装置、部材、保守部品などを受け入れ、千歳市内や北海道内の半導体関連拠点へ供給する物流拠点としての活用も見込む。

延床面積約1万4500m2、トラック25台に対応

DHL千歳ロジスティクスセンターは、地上1階建てで、延床面積は約1万4500m2。有効天井高は5.5m、床耐荷重は2.5t/m2で、トラックバースは25台に対応する。

倉庫内は18~26℃の温度管理に対応。半導体製造装置や材料、精密部品など、保管環境への配慮が必要な製品を扱える環境を整える。

セキュリティ面では、倉庫とオフィスに監視カメラと入退室管理システムを設置する。複数の顧客が利用するマルチユーザー型施設として、製品や部品、在庫情報などを適切に管理できるようにする。

また、施設と物流オペレーションで消費する電力には100%再生可能エネルギーを活用する。雨水の再利用設備や、必要な場所だけを点灯できるモーションセンサ付きLED照明も導入し、施設運営に伴う環境負荷の低減を図る。

千歳市で進む半導体産業の集積に対応

千歳市では、Rapidusが2nm世代ロジック半導体の研究開発と量産に向けた拠点整備を進めている。

産業技術総合研究所も高NA EUV露光装置を備えた研究開発拠点の整備を進めているほか、技術研究組合最先端半導体技術センター(LSTC)による後工程の研究開発拠点など、前工程から後工程までを対象とした産業基盤の形成が進む。

さらに、千歳市、三菱地所、NTTドコモビジネスは、半導体の前工程から後工程までを一貫して研究・検証できる「(仮称)Chitose Technology Frontier」の形成に向けた連携協定を締結している。

こうした研究開発・製造拠点の整備に伴い、半導体製造装置や材料、保守部品などを国内外から運び、適切な環境で保管し、必要なタイミングで製造現場へ供給する物流機能の重要性も高まる。

DHLは、保管や配送だけでなく、施設内の物流作業や在庫管理を含めたサプライチェーンサービスを提供し、千歳市を中心とする半導体エコシステムの拡大に対応する。

EUV露光装置輸送で蓄積した知見も活用

DHLグループでは、北海道における半導体関連物流の実績も蓄積している。すでにDHLグローバルフォワーディングジャパンと日本貨物航空は、オランダのアムステルダムから新千歳空港まで、半導体露光装置を全4回のチャーター便で輸送した実績を持つ。

半導体製造装置は大型かつ精密であるため、衝撃や振動、温度変化を抑えながら輸送する必要がある。特に北海道では冬季の厳しい気象条件も考慮し、航空機からトラックへの積み替え時間を短縮するなどの対応が求められる。

DHL千歳ロジスティクスセンターの本格稼働後は、こうした国際輸送と空港近郊での保管、製造拠点への配送を組み合わせ、半導体関連企業の物流を一体的に支援できる体制を整える。

なお、同社では、北海道を日本の次世代半導体産業をけん引する重要拠点と位置付け、DHLのグローバルネットワークと物流ノウハウを活用し、半導体エコシステムの発展を支援するとしている。