この半導体ニュースのまとめ

・2026年第3四半期の世界シリコンウェハ出荷面積は前年同期比13.4%増の37億5600万平方インチ
・前四半期比でも5.1%増となり、2026年に入ってから2四半期連続で増加
・AI需要が先端ロジックやメモリからパワーデバイス、フォトニクス、産業用途へ拡大

SEMIは11月4日、SEMI Silicon Manufacturers Group(SMG)による2026年第3四半期のシリコンウェハ業界分析結果を発表した。

それによると、同四半期の世界シリコンウェハ出荷面積は37億5600万平方インチ(MSI:Million Square Inches)となり、前年同期の33億1300万平方インチから13.4%増加した。前四半期の35億7300万平方インチからも5.1%増となり、2026年に入ってから2四半期連続で増加した。

2026年第3四半期は37億5600万平方インチまで拡大

四半期別の出荷面積を見ると、2025年第2四半期は33億2700万平方インチ、第3四半期は33億1300万平方インチ、第4四半期は34億3700万平方インチで推移。2026年に入って第1四半期に32億7500万平方インチへと減少したものの、第2四半期は35億7300万平方インチ、第3四半期は37億5600万平方インチへと拡大傾向にある。

前年同期比の伸び率は、2025年第2四半期が9.6%、第3四半期が3.1%、第4四半期が8.0%。2026年は第1四半期が13.1%、第2四半期が7.4%、第3四半期が13.4%となっており、直近では再び2桁成長となった。

シリコンウェハは、ロジック、メモリ、パワー半導体、アナログ、センサなど、さまざまな半導体デバイスの基板として使用される材料。出荷面積の増加は、幅広い半導体分野における生産活動や将来需要を映す指標の1つとなる。

AI需要がパワーデバイスやフォトニクスにも波及

SEMI SMG会長でSUMCOの営業部門を統括する三浦将嗣氏は、第3四半期のシリコンウェハ出荷面積の増加について、AI関連需要の強さと産業用途の回復が背景にあると説明している。

AI関連需要は、GPUやAIアクセラレータなどの先端ロジックや、高帯域幅メモリ(HBM)を含む半導体メモリにとどまらず、パワーデバイスやフォトニクスなどへ広がっているという。

AIデータセンターでは、GPUやCPU、HBMを搭載したサーバに加え、それらを接続する高速ネットワークや光通信、電力を効率的に供給するパワー半導体、温度や電力を管理するセンサなど、多様な半導体が必要となる。

AIサーバの高性能化に伴って消費電力が増加する中、電源装置や電力変換回路に使われる半導体の需要も拡大している。サーバやラック間を高速に接続するための光トランシーバやシリコンフォトニクスなども、シリコンウェハ需要を押し上げる用途となっている。

ロボティクスなど産業用途も回復傾向

産業用途では、ロボティクス、AIサーバ向け電源、汎用産業用半導体などで需要の改善が見られるという。

産業用ロボットや製造装置には、演算処理を担うプロセッサのほか、モーターを制御するパワーデバイス、周辺環境や設備状態を把握するセンサ、通信ICなどが搭載される。

生成AIやフィジカルAIを産業機器へ組み込む動きが広がれば、装置が処理するデータ量や演算負荷も増加する。これに伴い、演算、電源、センシング、通信を担う半導体の需要も押し上げられる可能性がある。

2025年のシリコンウェハ市場は、AI向けの先端プロセスが成長する一方、自動車、産業機器、民生電子機器などに使われる成熟プロセスの回復は緩やかだった。しかし、2026年第3四半期において、そうした産業用途の需要改善が示されたことで、シリコンウェハ市場の成長がAI向け先端品以外へ広がるかどうかが、今後の焦点となるといえる。

ウェハボンディングや先端パッケージングも需要を支える

SEMIは、ウェハボンディングや先端パッケージング技術の普及も、300mmポリッシュドウェハの需要を支えているとする。

AI半導体では、異なる機能を持つ複数のチップを1つのパッケージへ集積するチップレットや、ロジックとHBMを近接配置する2.5D実装、チップを縦方向に積層する3D実装などの採用が進んでいる。

こうした先端パッケージングでは、半導体チップを形成するためのウェハに加え、チップ間の接続や積層、支持などを目的としてウェハを使用する工程も増える。

ウェハボンディングも、複数のウェハやデバイス層を接合し、高密度な半導体構造を形成する技術として重要性を増している。

AIプロセッサやHBMの生産量拡大と、1つの製品に使用されるウェハ工程の増加が重なることで、シリコンウェハ需要を中長期的に押し上げることが予想される。

2026年通年では144億2000万平方インチを予測

SEMIは2026年の世界シリコンウェハ出荷面積について、前年比11.8%増の144億2000万平方インチになると予測している。

2026年第1四半期から第3四半期までの出荷面積は合計106億400万平方インチ。通年予測の達成には、第4四半期に38億1600万平方インチの出荷が必要となる。

これは第3四半期の37億5600万平方インチに対して約1.6%増の水準となる。第2四半期から第3四半期にかけて5.1%増加した直近の推移を踏まえると、通年予測の達成が視野に入る水準となっている。

ただし、四半期ごとの出荷量は、顧客の在庫水準や設備稼働率、最終製品市場の需要、半導体メーカーの生産計画などによって変動する。

AI向け先端ロジックやHBMが引き続き成長をけん引する一方、産業機器や自動車、民生機器向けを含む成熟プロセス市場の回復がどこまで進むかが、今後のシリコンウェハ需要を左右することとなる。