ライオンは10月28日、歯みがき行動によって、インフルエンザウイルスに反応する唾液中の免疫成分「IgA抗体」濃度が増加することを明らかにしたことを発表した。
歯をみがいて口腔内を清潔に保つ行動が、唾液が本来備えている防御機能を発揮しやすくし、インフルエンザウイルスの感染への備えに繋がる可能性を示すのだという。
本研究成果は11月29日に開催される「第5回 日本唾液ケア科学会学術集会」で発表予定。
インフルエンザウイルスに反応する唾液中の成分を確認
2026年は前年よりも5週早い8月にインフルエンザの流行が始まるなど、感染対策を始めるタイミングにも変化が見られる。口腔はウイルスが体内に侵入する主な感染経路の一つであり、唾液はウイルス侵入に対する初期段階の防御機構として機能する。
唾液による感染防御には、抗体、ラクトフェリン、ムチン、リゾチームなどさまざまな成分の関与が知られている。
同社2025年に発表した先行研究において、歯みがき行動によって唾液のインフルエンザウイルス不活化能が向上すること示していた。しかし、歯をみがくことが唾液中の免疫成分にどのような影響を及ぼすのかは明らかになっていなかった。
そこで今回、唾液中の最も中心的な免疫因子であるIgA抗体に着目し、歯みがき行動前後でIgA抗体濃度の変化について解析した。
研究手法
研究では、20~50代の健康な男女14人(う蝕・歯周病が無い方)の歯みがき行動前後の唾液を解析。被験者の唾液を用いて、インフルエンザウイルスに反応する唾液中のIgA抗体濃度をELISA法で測定した。
唾液採取前日の23時以降は食事と口腔清掃をせず過ごし、翌朝午前9時に5分間の歯みがきを実施。歯みがきには同社市販のハミガキとハブラシを使用。すべての歯の頬側、舌側、咬合面をまんべんなく、普段と同様のブラッシング方法でみがいた後、10ミリリットルの水で口をゆすいだ。
これらは上記の先行研究で実施したものであり、本研究ではその際に採取した唾液を用いて解析を実施している。
歯みがきがインフルエンザ対策に?
測定の結果、歯みがき行動前と比較して、歯みがき行動5分後の唾液では、IgA抗体の濃度が有意に増加したことが確認された。
唾液中のIgA抗体はインフルエンザウイルスと口腔内細菌の両方に反応することが報告されている。歯みがき行動前のように口腔内細菌が多い口腔環境では、多くのIgA抗体は口腔内細菌に反応すると考えられる。
今回の結果から、増えた口腔内細菌を歯みがき行動によって取り除くことで、唾液中のIgA抗体が口腔内細菌ではなく外部から侵入してきたインフルエンザウイルスに反応しやすくなったと考えられるとのことだ。
加えて、先行研究で確認された唾液による細胞への感染防御の結果と合わせると、歯みがき行動後の口腔内では口腔内細菌が少なくなり、インフルエンザウイルスを不活化できるIgA抗体濃度が増えるため、細胞への感染が防御されたと考えられるとしている。



