日立システムズは10月27日、森林の自然資本を科学的に定量評価する「ネイチャーポジティブ推進支援サービス」の提供を開始すると発表した。「森林調査DXサービス」のオプションとして提供し、水源涵養機能、炭素蓄積量、生物多様性の観点から森林の状態を評価する。評価結果の可視化に加え、森林整備による将来変化のシミュレーションにも対応する。

ドローンや環境DNA分析で森林の状態を評価

ネイチャーポジティブ推進支援サービスは、日立システムズが持つ森林解析技術や森林関連の知見と、サンリット・シードリングスの生物多様性分析技術を組み合わせたもの。企業や自治体、森林組合などが進めるネイチャーポジティブ施策の成果を評価し、統合報告書やサステナビリティレポートなどで活用できるデータとして可視化する。

  • ネイチャーポジティブ推進支援サービス

    ネイチャーポジティブ推進支援サービスのイメージ

評価には、ドローン分析のほか、環境DNA分析、GIS分析、野外調査による生物多様性評価を用いる。取得したデータを基に森林の現状を把握するとともに、地域の立地条件に適した樹種を植栽する「適地適木」の考え方で森林を造成した場合の変化をシミュレーションする。

生物多様性の評価には、環境中に存在する生物由来のDNAを調べる環境DNA分析を採用。環境DNA分析は、ネイチャーポジティブ・イニシアティブが2026年10月13日に正式版を公表した「自然の状態(SoN:State of Nature)指標」の測定ガイダンスで、自然の状態を把握する方法の一つに位置付けられている。

また、林野庁が2026年3月に公表した「林地における水資源涵養量(貯留機能)の簡易評価手法」を参照し、環境省が2025年5月に公表した資料の評価式を用いることで、森林が持つ自然資本の経済的価値も算出できる。

約50ヘクタールの森林で年間約4,900万円の便益を確認

同サービスは、2025年11月から2026年3月にかけて、群馬県森林組合連合会の協力を得て実施した実証実験の結果を基に開発したものだ。

実証実験では、対象森林の水源涵養機能による渇水、洪水、土壌劣化の防止効果を、環境省の評価式に基づく参考金額として算出した。その結果、総面積約50ヘクタールの森林について、ダムなどのインフラと同様の役割を果たす価値として、年間約4,900万円の便益が生まれることを確認した。

さらに、適地適木に基づく森林整備を行った場合、年間約6,000万円まで便益が向上すると見込まれるとしている。

日立システムズは今後、「森林調査DX」で培った森林解析技術と全国約300拠点のネットワークを活用し、森林の公益的機能を事業に取り入れる企業や自治体、森林組合などへ同サービスを提供する。また、評価や可視化、将来変化のシミュレーションにとどまらず、森林におけるネイチャーポジティブ活動の実行を支援するサービスも検討しているという。