AIがサイバー攻撃の速度と規模を変えつつある。クラウドストライクのCounter Adversary Operationsは、2026年5月から8月にかけて、攻撃者がAIをツールやマルウェアの作成に使うだけでなく、AIエージェント自身に意思決定とコマンド実行を任せるキャンペーンを複数確認した。
これまで報告されていなかった4つの脅威アクターが、攻撃用のエージェントフレームワークをオープンディレクトリ上で公開状態にしていたため、その運用の詳細が明らかになったという。
AIが判断とコマンド実行を担う攻撃キャンペーン
例えば脅威アクター1は、アルゼンチンの少なくとも15の医療機関に侵入し、認証情報や医療記録を流出させている。方針を決める「Supervisor」と実行役の「Executor」という2つのエージェントを連携させ、攻撃フェーズを定めたワークフローに沿って作業を進める構成だったという。
また、脅威アクター2は世界各地で20を超える標的を設定し、2か国の政府機関への侵入に成功している。
819のスキルを攻撃に利用
注目したいのは、技術レベルが最も低いとされる脅威アクター3である。公開リポジトリから取得した819のスキルだけでClaude Codeに侵入を実行させ、セキュリティの基礎知識が限られているにもかかわらず、政府ドメインや民間組織への侵入に至った。
脅威アクター4はロシア語を使うグループで、単一のスラッシュコマンドから7段階のワークフローを実行させ、米国のCRMベンダーから企業顧客のデータを流出させている。
今後12カ月で侵入障壁が下がる可能性
こうした事例についてクラウドストライクは、エージェント型AIが基本的な侵入オペレーションをコモディティ化しつつあることを示す可能性があると指摘する(この評価の確度は中程度)。また、マシンスピードで動くエージェント型AIは、多くの場合1時間以内に目的を達成するという。
同社はエージェント型AIを活用した侵入が件数と高度化の両面でほぼ確実に増加するとみており、今後12か月で技術力の低い攻撃者が、組織的な犯罪グループや国家と結びつく攻撃者並みの規模でキャンペーンを展開する可能性もあるとしている。
防御側には、攻撃の速度と規模の変化を前提とした備えが一層求められる。