KDDIは10月22日、レベル4自動運転車両の遠隔監視を支援するAIエージェントを開発したと発表した。1人の監視者が多数の自動運転車両を同時に監視する「1対N型遠隔監視」での利用を想定しており、複数の車両に異常が発生した際の状況把握や対応判断を支援する。

  • AIエージェントによる遠隔監視者への情報提示イメージ

    AIエージェントによる遠隔監視者への情報提示イメージ

停車後の状況変化もAIが分析、対応の優先順位を更新

レベル4自動運転は、特定の条件下でシステムが運転操作を担うもの。遠隔監視型のレベル4自動運転では、遠隔監視システムとともに、車両の状況確認や異常時の対応を担う「特定自動運行主任者」の配置が義務付けられている。

自動運転サービスの普及に向けては、運行コストや人手不足が課題となっており、1人の監視者が複数の車両を担当する体制が求められる。ただし、複数の車両で同時に異常が発生すると、それぞれの車両や周辺の状況を把握し、対応の優先順位を迅速に判断する必要がある。

今回開発したAIエージェントは、車両や遠隔監視システムからの異常アラートをきっかけに、対象車両と周辺の状況を分析する。

異常が発生した時点だけでなく、車両が停車した後の状況変化も継続的に監視する点が特徴。例えば、停車後に落下物が飛来した場合や、周辺の交通状況が変化した場合などにも、状況に応じて各車両への対応優先度を更新する。これにより、監視者が別の車両に対応している間に状況が変わった場合などに、優先度の高い車両への迅速な対応を支援する。

AIによる状況分析には、画像と文章を組み合わせて処理するVLM(視覚言語モデル)を利用する。車両のカメラ映像と各種車両情報を分析し、緊急通報や現場への駆け付け手配などの推奨対応を判断理由とともに監視画面へ提示する仕組みだ。

監視者はAIの提示を手がかりに、映像や車両情報の重要な箇所を重点的に確認したうえで、対応を最終的に判断する。AIは、監視者に代わって対応を決定するのではなく、状況把握と判断を支援する役割を担う。

11月から実証、2027年以降の社会実装を目指す

KDDIは11月から、同社の「モビリティコントロールセンター」でAIエージェントの実証を開始する。多数の車両で異常が同時に発生する状況や、停車後に周辺状況が変化する場面を模擬し、対応優先度の判定や推奨対応の提示が有効に機能するか検証する。

同センターでは、KDDIスマートモビリティや物流事業者などと連携し、自動運転車両の位置/映像/音声/運行状態/通信品質/異常発生時のアラートなどをリアルタイムで確認できる体制を構築している。

これまでにも、2025年7月には新東名高速道路で自動運転トラックの異常検知から現場駆け付け、車両退避を行うまでの一連のオペレーションを実証。2026年10月からは、茨城県つくば市で運行する自動運転路線バスの遠隔監視を開始している。

KDDIは今回の実証結果を踏まえ、KDDIスマートモビリティと協力してAIエージェントの改善・高度化を進め、2027年以降の早期の社会実装を目指す。

10月27日・28日に開催される「KDDI SUMMIT 2026」では、今回開発したAIエージェントに関する展示を予定している。