この半導体ニュースのまとめ

・2026年の世界RFデバイス市場はスマートフォン出荷減の影響で横ばいの558億ドル
・2027~2028年の市場正常化後、防衛、自動車、衛星通信、6Gが成長をけん引
・2031年のRFデバイス市場は約720億ドル、GaN市場は27億ドル規模へ拡大の見通し

Yole Groupによると、2026年の世界RFデバイス市場は前年比横ばいの558億ドルとなる見通しだという。メモリ不足の影響でスマートフォン(スマホ)出荷台数が前年比約13%減少し、端末の数量に連動するRFフロントエンドモジュール、RF SoC、ディスクリートデバイスの需要が低迷するためとしている。

ただし、今回の減速は市場の成長が止まる「天井」ではなく、一時的な調整局面と位置付けられている。スマホの出荷が2027~2028年に正常化した後、2029年以降は防衛、自動車、衛星通信、6G向け需要が成長をけん引し、RF市場は2031年に約720億ドルへ拡大すると予測している。

  • RFフロントエンドデバイス売上高の最終用途別内訳

    2025年と2026年におけるRFフロントエンドデバイス売上高の最終用途別内訳 (出所:Yole Group)

防衛・自動車・衛星が新たな成長軸

用途別では、自動車分野がレーダー、V2X、ADASの普及によって拡大し、2031年に50億ドル超へ成長する見通し。防衛・航空宇宙分野もレーダーや電子戦の高度化、各国政府による調達、量産型ドローンや対無人航空機システムの需要を背景に、約40億ドルへ達すると予測されている。

衛星通信では、低軌道衛星コンステレーションやユーザー端末向けRFICの需要拡大が見込まれる。通信インフラ市場も、5Gの高度化と初期の6G Massive MIMOを背景に、2031年には約40億ドルへ拡大する見通しだとする。

米国勢が売上高の約55%を占有

地域別では、米国企業が世界RFデバイス売上高の約55%を占め、モバイル・コンシューマと防衛・航空宇宙で優位を維持している。Qualcommが首位に立ち、Broadcom、Skyworks、Qorvo、村田製作所、NXPなどが続く。

中国企業のシェアは約14%で、Maxscend、Vanchip、Smarter Micro、HiSiliconなどが国内供給網を拡充。6Gを見据え、通信インフラ向けGaNやLDMOSの生産能力も強化している。

欧州企業は約10%を占め、NXPとInfineonを中心に車載分野を主導する一方、防衛用途では外部の半導体メーカーに依存する。日本と韓国は合計約10%で、フィルタとRF SoCに強みを持つ。

  • 世界のRFデバイスサプライヤ上位35社の地域別分布と売上高シェア

    世界のRFデバイスサプライヤ上位35社の地政学的な分布と地域別売上高シェア。米国企業が全体の約55%を占める (出所:Yole Group)

GaN市場は2031年に27億ドルへ

RFチップの出荷数量は2025年の1億4700万個から2026年に1億3800万個へ減少するものの、2031年には1億7000万個まで回復すると予測されている。

  • 2025/2026年、2031年のRFチップの出荷数量予測

    2025/2026年、2031年のRFチップの出荷数量予測 (出所:Yole)

材料別では、CMOS、RF-SOI、FD-SOI、SiGe、BAWなどのシリコン系がコストと集積度を生かして量産市場を支える一方、高出力、高周波、高性能用途では、GaAsやGaNなどの化合物半導体が成長をけん引する。

GaAsは引き続きモバイル端末用パワーアンプの主力材料となる。GaNはMassive MIMO、レーダー、電子戦、衛星通信などへの採用拡大により、2031年に27億ドル規模へ達する見通しだ。

フィルタでは、低周波数帯で用いられるSAWを日本企業が主導し、ミッドバンド5GやWi-Fi 6/7向けBAWは米国と日本の企業が供給を担う。

RF市場の競争軸はスマホの出荷規模だけではなく、防衛・宇宙、自動車、6G向けの高性能デバイスと、各国・地域における供給網の構築へ移りつつある。