この半導体ニュースのまとめ

・インフィニオンが次世代AIサーバ向け27kW三相PSUのリファレンス デザインを発表
・入力電圧480VAC、負荷率50%の条件で98%を超える最大電力効率を達成
・統合型エネルギー バッファにより20ミリ秒のホールドアップ時間を確保

Infineon Technologies(インフィニオン テクノロジーズ)は、次世代AIサーバ向け電源アーキテクチャに対応する27kW三相電源ユニット(PSU)のリファレンス デザインを発表した。

サーバODMおよびOEMを対象とするもので、OCP Open Rack V3(ORV3)仕様とAIサーバラックアーキテクチャの要件に対応。開発期間の短縮に加え、ラックの電力密度、電力効率、熱性能の向上に貢献するとしている。

AIワークロードの拡大やGPU性能の向上、ラック密度の増加を背景に、データセンターの電源アーキテクチャは800VDCまたは±400VDCへの移行が進みつつある。今回のリファレンス デザインは、こうした次世代電源アーキテクチャを支える同社のAIサーバ向け電源ソリューションを拡充するものとなる。

CoolSiCやCoolMOSを組み合わせて98%超の電力効率を実現

同リファレンス デザインは、パワー半導体である650V CoolSiC MOSFETやCoolMOS MOSFET、EiceDRIVERゲートドライバ、XENSIV電流センサ、PSOCマイクロコントローラなど、インフィニオンの各種コンポーネントを組み合わせて構成されたものとなる。

入力電圧480VAC、負荷率50%の条件で98%を超える最大電力効率を達成するほか、5レベルANPC PFCトポロジーと3レベルLLCコンバータの採用により、116W/in3の電力密度を実現したという。これはORV3が定める最低要件の94W/in3を上回る値となる。

統合型エネルギーバッファで20ミリ秒のホールドアップ時間を確保

同リファレンス デザインには統合型エネルギー バッファが搭載されており、短時間の電力系統障害が発生した場合でも20ミリ秒のホールドアップ時間を確保できるという。

また、GPUの負荷が急変した際に発生するライン電圧の変動を平滑化することで、外部のキャパシタ バンクユニット(CBU)を不要とした。統合型プレーナ磁気構造の採用により、コンパクトでモジュール化された、拡張性の高い高周波トランス設計にも対応するとしている。

AIサーバでは、GPUの処理状況に応じて消費電力が短時間で大きく変化する。このため、電源には高い変換効率だけでなく、急激な負荷変動に追従して安定した電力を供給する能力も求められる。今回のリファレンス デザインでは、エネルギー バッファとデジタル制御を組み合わせることで、こうしたAIワークロード特有の電力変動への対応を図っている。

PSOC Control C3によるデジタル制御を採用

PFC段とLLC段には、負荷変動の大きなAI向けアプリケーションに対応するため、デジタル制御が採用されている。

PSOC Control C3 Performance Lineマイクロコントローラに統合されたPPCA(Programmable Power Control Accelerator)により、高速な動的応答と高精度な電流・電圧制御を実現するという。

対応する三相入力電圧範囲は311~528VACで、世界各地のさまざまな電力規格で利用できるとしている。また、入力電流総高調波歪み率(iTHD)を低く抑え、大半の動作負荷範囲において0.99を超える力率を実現。動作可能な周囲温度範囲は-5℃~+45℃となっている。

800VDC時代に向けてAIサーバ用電源を拡充

インフィニオンは、AIサーバ向けの電源領域において、電力網からプロセッサーコアまでの電力変換を対象とした製品ポートフォリオの拡充を進めている。

今回の27kW三相PSUは、データセンターへ供給された交流電力を、将来の800VDCまたは±400VDC電源アーキテクチャへ接続するフロントエンド側の電力変換を担うリファレンス デザインとして位置付けられる。電力効率と電力密度の向上に加え、急激に変化するGPU負荷への対応を一体化することで、次世代AIサーバラックの電源設計を支援する狙いがあるとみられる。