ENEOS、NTTドコモなど9社は10月8日、資源エネルギー庁が実施する「令和8年度環境価値認証制度等整備事業(次世代燃料の環境価値認証・移転制度構築検討に向けた実証事業)」に参画すると発表した。次世代燃料の環境価値を認証し、需要家企業に移転する「クリーン燃料証書制度」の導入に向けた課題を検証する。

燃料と環境価値を切り分け、離れた地域の企業も利用可能に

クリーン燃料証書制度は、次世代燃料が持つ環境価値を認証し、証書として取引する仕組み。燃料の現物は環境価値を切り離した燃料として消費され、その環境価値を需要家企業が購入できるようにする。

需要家は、次世代燃料用の専用設備を整備しなくても、燃料の供給地から離れた地域で環境価値を利用できる。各社は、こうした仕組みが企業の脱炭素化の取り組みを支え、次世代燃料の利用拡大につながると期待しているという。

ENEOSがHVOを輸入、需要家企業が証書の活用を検証

本実証では、ENEOSがHVO(Hydrotreated Vegetable Oil、水素化処理植物油)の輸入と環境価値証書の提供を担当する。HVOは廃食油などの油脂を水素化処理して製造するバイオ燃料で、リニューアブルディーゼル(RD)とも呼ばれる。軽油に近い特性を持ち、既存燃料の代わりに利用できる。

需要家としては、本発表をENEOSと共同で行ったNTTドコモ/鹿島建設/清水建設/鶴見サンマリン/T2/東急建設/NIPPO/日本航空(JAL)の8社に加え、トヨタ自動車を含む複数の企業も参画する。需要家企業各社は、環境価値証書の活用に向けた検証と、運用上の課題の検討を行う。

クリーン燃料証書制度では将来的に、温室効果ガス排出量算定・報告・公表制度(SHK制度)やGHGプロトコルなど、国内外の制度・基準への対応が検討されている。各社は今回の実証を通じて制度の有効性や運用上の課題を検証し、制度導入の推進に向けた知見を蓄積することで、新たな需要創出と次世代燃料の普及拡大に貢献するとしている。

編集部メモ

ENEOSは2026年6月に、国内初(同社調べ)のタンカーによる製油所への大規模なHVO輸入を行ったことを発表している。その発表の際にも、HVOの環境価値をマスバランス方式およびBook and Claim方式を用いて需要家に提供する方針を明らかにしていた。

HVOは軽油に近い特性を持つため、既存のタンクに受け入れ、既存燃料と混合して出荷できる。既存燃料と混合できるHVOを利用して、その環境価値を帳簿上で管理し、証書として需要家に提供する仕組みを構築することで、専用のインフラ投資を抑えながらバイオ燃料の普及を進める狙いがある。