Malwarebytesは6月8日(米国時間)、「Americans lost nearly $900 million to AI-powered scams, FBI says|Malwarebytes」において、米国のAIを悪用した詐欺被害額(2025年)が約9億ドルに達したと報じた。

これは米国連邦調査局(FBI: Federal Bureau of Investigation)が公開したインターネット犯罪レポート「(PDF) Internet Crime Report 2025」により明らかになった。発表された金額はFBIに寄せられたAI関連の苦情の合計のみで、実際の被害額はこれを上回ると予想されている。

  • AIで生成した有名人の偽動画を利用して投資を勧誘する「Quantum AI」詐欺サイトの例 出典: Palo Alto Networks

    AIで生成した有名人の偽動画を利用して投資を勧誘する「Quantum AI」詐欺サイトの例 出典:Palo Alto Networks

AI詐欺が急増、偽音声やディープフェイクを悪用

同レポートの対象は米国内で発生したサイバー犯罪で、2001年から2025年までの25年間、FBIに寄せられた苦情をもとに作成されている。2025年のAI関連の苦情件数は合計で2万2364件、被害額の合計は8億9334万6472ドルとされる。

Malwarebytesは近年、AI詐欺が増加傾向にあると指摘。その背景にはリアルタイムの音声生成、ディープフェイク、AIによる自動処理といった技術の進化があり、サイバー犯罪者はこれらをロマンス詐欺、狂言誘拐、脅迫、有名人や政府機関のなりすましといった手口の巧妙化に悪用するという。

現在の生成AIは既存のサイバー犯罪を強化、大規模化する能力がある。説得力のある台本、信憑性の高いディープフェイク画像や動画、そして本人と見紛うほどの偽音声などを生成して被害者をだます。FBI関係者は「訓練を受けた人間でさえも、公式で正当にみえる」と述べ、専門家も看破できないほどの水準に到達したと指摘している。

AI詐欺から身を守る方法

Malwarebytesは巧妙化の進む詐欺に対抗するため、次の対策の理解および実施を推奨している。

  • 緊急性を訴える支払い要求、特に暗号資産やギフトカードによる支払い要求に警戒する
  • ディープフェイクの可能性を低減するため、画像、音声、動画コンテンツの公開を制限する
  • 被害の可能性がある場合は、速やかに関連組織(銀行や警察など)に相談する

さらに、近年は民間の決済サービスを悪用する詐欺が増加傾向にある。フィッシング対策協議会は複数の緊急情報を発表しており、これら詐欺にも警戒することが望まれる(参考:「国民年金の未納通知を装うフィッシングに注意 PayPayで送金要求 | TECH+(テックプラス)」、「住民税の納付メールに注意、PayPay送金要求のフィッシング確認 | TECH+(テックプラス)」)。