シャープは3月31日、4月1日付で代表取締役社長執行役員CEOに就任する河村哲治(かわむら てつじ)氏の記者会見を開催した。なお、新社長の発表は同18日に公表している。

  • 左から次期社長の河村哲治氏、現社長の沖津雅浩氏

    左から次期社長の河村哲治氏、現社長の沖津雅浩氏

河村哲治新社長の経歴

1961年11月10日生まれの河村氏は1984年にシャープに入社し、2014年に欧州マーケティング統括兼SEE(欧州統括会社)社長、2017年に米州代表兼SEC(米国販売会社)会長、2021年にはデジタルイメージングソリューション事業本部長、2022年に執行役員 スマートビジネスソリューション事業本部長を歴任。

その後、2024年に常務執行役員 スマートオフィスビジネスグループ長兼スマートビジネスソリューション事業本部長、2025年には専務執行役員CBDO(Chief Business Development Officer)を務めた。

スマートオフィスビジネスグループ長を務めていた際、2025年3月期に同社の4つのビジネスグループ(当時)の中で最大の売り上げを計上し、事業をけん引した。2025年からはCBDOとして、新規事業で顧客・販売の開拓に取り組んでいる。

  • 河村氏の経歴

    河村氏の経歴

同氏は「私のミッションはシャープを新たなステージに導くことではあるが、世代が変わっても変わってはいけないことが創業者の早川徳次が常に口にしていた『他社がまねするような商品をつくれ』と、経営信条の『二意専心 誠意と創意』、経営理念である。私は12代目の社長となるが、これらは代々引き継がれて当社のDNAであり、これからも引き継いでいきたいと考えている。そして、昨年9月に策定したスローガン『ひとの願いの、半歩先。』を軸にシャープらしさを先頭に立って体現していく」と強調した。

  • 河村氏

    河村氏

現社長の沖津雅浩氏は、社長交代の経緯について「社長交代の検討を開始したのは2月の決算発表以降であり、3月上旬に河村氏に打診した。液晶事業は赤字が続いているが、亀山第2工場(三重県亀山市)の生産を停止し、同第1工場(同)と白山工場(石川県白山市)に集中することを決定した。2027年度を最終年度とする中期経営計画に向けて、新社長が真摯に取り組んでくれると考えている。液晶事業の構造改革も一段落したことから、前向きに成長の投資を増やしていくフェーズであり、営業が現場の課題を吸い上げて商品開発する形に代わってきているため営業のバックグラウンドを持つ、河村氏が最適だ」と話す。

新社長が掲げる「企業価値最大化」と再成長戦略

特に、重点的に取り組むこととして「企業価値の最大化」を挙げ、これに向けて「再成長の実現」と「発信力の強化」を進めていく。再成長の実現では新規事業の早期具体化とシャープブランドのグローバル拡大を推進し、親会社である鴻海科技集團(Foxconn)のリソースを活用していく。

  • 「企業価値の最大化」に向けて「再成長の実現」と「発信力の強化」を進めていく

    「企業価値の最大化」に向けて「再成長の実現」と「発信力の強化」を進めていく

河村氏は「鴻海との関係で、シャープの重い荷物を担いでもらうという一方的なものであってならない。お互いが持つアセットやリソースは当然異なることが、そうしたものを活かしてシナジーを生むことに積極的に貢献していく。当社が持つ全世界で認知されているブランドと販売・サービスネットワークを、鴻海が有する主に川上を中心としたGo to Marketの部分で貢献できると考えている」と述べている。

発信力の強化では、あらゆる機会を捉え、経営陣が会社の方向性や取り組みや成果を従来以上に経営陣が積極的に発信し、ステークホルダーの信頼を勝ち得ていくという。

こうした取り組みを加速するために、4月1日付けで組織再編を行う。同氏が最も重要な取り組みと位置付ける、AIサーバやEV(電気自動車)のコンセプトモデル「LDK+」などの新規事業はスピード感を持って実現していくために、社長直轄の組織として事業開発担当を設け、同日付でCTO(Chief Technology Officer)に就任する徳山満氏と二人三脚で進めていく。鴻海との連携では、AIサーバや同社のEV「Model A」などのリソースを活用する。

河村氏は、徳山氏について「研究開発にとどまらず経営戦略と技術戦略、事業実装の掛け算を起こしてもらいたい。AIやDX(デジタルトランスフォーション)に強みを持つことから、これからはシャープ内の技術を把握して技術戦略に取り組んでもらう」と期待を示していた。

  • 4月1日付け組織再編と役員人事の狙い

    4月1日付け組織再編と役員人事の狙い

グローバル拡大に関しては、シャープではトレンドの先端を行く欧米でBtoB事業を中心とした事業基盤、成長著しいASEANで家電事業を中心とした事業基盤を持つ。これらの事業基盤に河村氏の欧米を中心とした25年の海外経験と、コミュニケーション力、信頼関係構築、さらには鴻海の強みであるグローバル大手企業との協力関係、インドなどの各国政府とのつながりを掛け合わせて、シャープブランドをグローバルに拡大していく方針だ。

  • シャープブランドのグローバル拡大に向けた考え方

    シャープブランドのグローバル拡大に向けた考え方

最後に、河村氏は「私のこれまでの経験と知見をすべて注ぎ込み、シャープを次のステージに導けるように全力で取り組んでいく」と力を込めていた。