アプライドマテリアルズ(AMAT)の日本法人であるAMATジャパンは、トランジスタの電力消費を2040年までに1万分の1にすることを目指す技術開発プラットフォーム「EPIC」に、複数の日本企業の参画を呼びかけていることを明らかにした。EPICでは2nm以下の次々世代プロセスを実現するために、独自の新製品を活用し、ロジックやメモリ、あるいはパワー半導体の電力効率改善を目指す。
この発表は、AMATジャパンが3月16日に開催した「次世代トランジスタ技術によるAI性能の最大化」をテーマとする説明会で明かされたもの。中尾社長はこれまでの半導体産業の歴史を踏まえ、「いまはモノのインターネット(IoT)とAIが主導する第4の成長期」とし、転換点であるデータセンターやロボティクス、電気自動車(EV)、再生エネルギーなどにおいては半導体がカギを握ると話し、こうしたトレンドに対して半導体材料から事業を拡大してきた同社は、「マテリアルズイノベーション(材料工学)で世界を変える」とする。
同社が見据える目標のひとつが、2040年までに2007年ごろにくらべてトランジスタの消費電力を1万分の1にすることだ。そのために重要なのは、いかに電力効率を高めるか。シリコンバレーで今秋の稼働が予定される、クリーンルーム面積1万7000m2の半導体研究開発拠点「EPIC」(Equipment and Process Innovation and Commercialization)でソリューションを追求するという。なお現時点でサムスン電子とSK hynixの韓国勢と米マイクロン・テクノロジーの3社が参画を決めているとのことで、関連企業や大学などとの連携を通して開発時間をこれまでよりも30~50%短縮する。
そしてAMATジャパンは、ゲートオールアラウンド(GAA)構造の次世代トランジスタの開発のために「日本メーカーにも何社か声をかけている」(中尾均代表取締役社長)ところだ。全社に対する売上げ構成比は10%程度の日本だが、「ロジック・メモリ・パワーとすべて揃っているし人材も豊富。原子レベルの加工技術が必要になる」(中尾社長)。「サプライチェーンがしっかりしていて安定した品質で生産できる」(松永範昭技術本部長)と、重要な位置づけだ。
半導体の今後の成長には“エネルギー効率の改善”が必要とみるAMATは、次世代トランジスタ生産のための成膜やエッチング、材料改質を行う新製品で差別化を図るとする。2nmプロセス以降のトランジスタに向けに開発したのが純粋ラジカル処理装置は、イオンをつかってナノシート表面を原子レベルで平滑化する。シートが薄くなると表面の微細な凹凸が電子の移動速度を低下させてしまう。素材を痛めずに平滑化する技術は独自のものだ。
GAA向けエッチング装置は、エピタキシャル成長を行う前にアスペクト比の高い溝(トレンチ)を形成するもので、イオンのエネルギーと入射角を独立して制御することで可能になった。ボトムと側壁構造をきれいに加工することで良好なエピタキシャル成長ができ、トランジスターのチャネル長のばらつきも抑えられる。またコンタクトを従来のタングステンからモリブデンに替えることで抵抗を15%ほど下げられるモリブデン成膜装置もあるとする。


