QPS研究所は、小型合成開口レーダー(SAR)衛星の15号機「スクナミ-I」が撮影した初画像(ファーストライト)を公開。京都の大山崎インターチェンジや石川県金沢市、トルコ最大の都市・イスタンブールの様子を高精細モードでとらえた試験観測画像を紹介している。

  • トルコ・イスタンブールの観光名所が密集する旧市街エリアを観測したSAR画像。トプカプ宮殿やモスクなどの歴史的建造物が確認できる(画像中心寄りやや左上付近)。また、画像右側にはマルマラ海を望むイェニカプエリアを捉え、公園に植えられた木々1本1本の植生が見られる(現地時間1月22日17時20分撮影 / 観測時の天候:くもり時々晴れ)

    トルコ・イスタンブールの観光名所が密集する旧市街エリアを観測したSAR画像。トプカプ宮殿やモスクなどの歴史的建造物が確認できる(画像中心寄りやや左上付近)。また、画像右側にはマルマラ海を望むイェニカプエリアを捉え、公園に植えられた木々1本1本の植生が見られる(現地時間1月22日17時20分撮影 / 観測時の天候:くもり時々晴れ)

スクナミ-Iは、ロケット・ラボのElectronロケットによって日本時間2025年12月21日15時36分に打ち上げられ、約50分後に衛星分離、さらにその約6分後には初交信に成功。収納型アンテナを翌22日午前中に展開し、以後は衛星機器の調整を続けてきた。

  • QPS-SAR15号機「スクナミ-I」のアンテナ展開の様子

    QPS-SAR15号機「スクナミ-I」のアンテナ展開の様子

ミッションネームは衛星の愛称にちなんで“The Wisdom God Guides”(智慧の神が導く)と名付けられ、同社によるミッションパッチには、智慧者として知られるスクナミにちなんだ書物を描いたほか、打ち上げ時期のホリデーシーズンをイメージしたカラーリングを施していた。

  • ロケット・ラボによるミッションパッチ

    ロケット・ラボによるミッションパッチ

計36機による衛星コンステレーション構築をめざすQPS-SARプロジェクトの各衛星には、日本神話に登場する神々の名前からとった愛称をつけており、15号機は新たな傾斜軌道に投入することから、「スクナミ」(英文表記:SUKUNAMI)と命名した。

スクナミは海の彼方から現れて、ヤチホコ(14号機にて命名)とともに国造りを行った神として知られ、その智慧によって幅広く産業の振興を導いたとされる。15号機のマークは海や田畑、そして工業地帯をモチーフとし、産業の発展を見届けるという想いを込めたもので、この軌道の1機目となる15号機には「スクナミ-I」(スクナミ・ワン)と名付けている。

QPS研究所によるスクナミ-Iのミッションマークは、共に国造りを行った関係であることから、ヤチホコ-Iのミッションマークとリンクしたデザインを採用。カンパニーカラーのブルーを基調とし、愛称のスクナミをイメージする“国造り”の中でも、技術を表す漁業や農業、工業地帯をあしらっている。

  • QPS研究所によるミッションマーク

    QPS研究所によるミッションマーク

QPSのSAR(合成開口レーダー)衛星は、分解能1.8mの通常モード(ストリップマップモード)と分解能46cmの高精細モード(スポットライトモード)で観測できる。1月22日から観測を開始し、今回もアルウェットテクノロジーによる画像処理協力を経て、3つの地域の画像を公開した。

京都府大山崎町(日本時間1月22日15時16分 / 観測時の天候:晴れ時々くもり)

  • 京都府の最南部に流れる一級河川・木津川を中心に、大山崎インターチェンジ周辺を観測。画像の上部には「やわたのはちまんさん」と親しまれる石清水八幡宮が位置する男山(標高142.5m)と、それを取り囲む居住エリアが確認でき、豊かな緑を有する八幡市の様子を捉えている

    京都府の最南部に流れる一級河川・木津川を中心に、大山崎インターチェンジ周辺を観測。画像の上部には「やわたのはちまんさん」と親しまれる石清水八幡宮が位置する男山(標高142.5m)と、それを取り囲む居住エリアが確認でき、豊かな緑を有する八幡市の様子を捉えている

  • 大山崎インターチェンジをクローズアップした画像。SARの特性を活かすことで、ランプや立体交差、車線分岐といった複雑なインターチェンジ構造を明瞭に捉えられる。この画像には、東西に名神高速、南北に京滋バイパスおよび京都縦貫道が交わる大山崎インターチェンジの途中で東海道新幹線の高架をまたぎ、一部はその高架の下をくぐるという複雑な構造が写っている。レーダー反射の違いにより道路形状や高低差が可視化され、天候や昼夜を問わず安定したインフラ把握を可能とする

    大山崎インターチェンジをクローズアップした画像。SARの特性を活かすことで、ランプや立体交差、車線分岐といった複雑なインターチェンジ構造を明瞭に捉えられる。この画像には、東西に名神高速、南北に京滋バイパスおよび京都縦貫道が交わる大山崎インターチェンジの途中で東海道新幹線の高架をまたぎ、一部はその高架の下をくぐるという複雑な構造が写っている。レーダー反射の違いにより道路形状や高低差が可視化され、天候や昼夜を問わず安定したインフラ把握を可能とする

石川県金沢市(日本時間1月22日16時57分 / 観測時の天候:くもり)

  • 鼓門・もてなしドームを駅に構える金沢市周辺の様子。左下には犀川が流れ、真ん中に北陸自動車道が写っている。2015年の北陸新幹線開業を機に、金沢駅周辺では再開発が加速。SAR画像では金沢駅周辺の高層ビル群を確認できる(画像右下)

    鼓門・もてなしドームを駅に構える金沢市周辺の様子。左下には犀川が流れ、真ん中に北陸自動車道が写っている。2015年の北陸新幹線開業を機に、金沢駅周辺では再開発が加速。SAR画像では金沢駅周辺の高層ビル群を確認できる(画像右下)