TSMCが2025年末、2025年第4四半期に2nm(N2)プロセスを用いた量産を開始したことを明らかにした。大々的なプレス発表を行ったわけではなく、同社のWebサイト上の2nm技術に関する記述を更新する形で量産を明らかにした形だ。
これにより、同社は長年掲げてきた微細化ロードマップを遵守したことになる。
また、N2の当面の量産拠点が、新竹宝山のFab20と高雄のFab 22であることも併せて明らかにされた。
同社のサプライチェーン関係者によると、N2の初期生産は、NVIDIAやAppleなどの主要顧客向けで埋め尽くされていることに加え、世界中の半導体企業から注文が殺到しているため、宣伝の必要がないため、このような地味な発表になった模様だという。なお、2025年第4四半期の決算説明会が1月15日に予定されており、そこでさらに詳しい発表があるものと思われる。
N2について同社は、「(N3までのFinFET技術とは異なり)第1世代のナノシートGAAトランジスタ技術を特徴とし、性能と消費電力で進歩を果たした。低抵抗再配線層(RDL)と超高性能金属-絶縁体-金属(MiM)コンデンサを開発し、表面抵抗(Rs)とコンタクト抵抗(Rc)をそれぞれ50%低減するなどの技術革新を通じて、より安定的な電源供給、優れた演算能力、全体的なエネルギー効率の最適化を実現した」と説明している。
これまで同社はN2の性能を、N3E(改良型3nmプロセス)と比べて同一性能で25〜30%の消費電力削減、同一電力で10〜15%の性能向上、ロジック/SRAM/アナログの混載設計で15%以上の集積密度向上、ロジックのみでは20%の向上と説明している。
N2の生産能力については、2026年末までに月産10万枚(300mmウェハ)に達するとの見方が有力視されているが、一部の台湾アナリストは、先端プロセスに対する需要高騰により15万枚前後と予測している。また、歩留まりについては公表されていないが、業界筋によると、量産開始時点で70~80%に達しているとの見方が有力なほか、一部からは80%を超えているとの見方もある
2026年後半にはN2PとA16が登場予定
なお同社は2026年後半にはN2ファミリとして性能強化版のN2Pと、同社初のバックサイド電力供給を導入した1.6nmプロセス(A16)が提供開始される予定である。A16は、「最先端のナノシートトランジスタと革新的なスーパーパワーレール(SPR)ソリューションを統合し、ロジック密度とパフォーマンスを向上させる」と同社は説明している。
SPRは、フロントサイド配線リソースを信号専用にすることで、ロジック密度と性能を向上させる技術で、IRドロップを削減し、電力供給効率を向上させている。重要なのは、このバックサイドコンタクト方式により、従来のフロントサイド電力供給と同様にゲート密度、レイアウトフットプリント、デバイス幅の柔軟性を維持しつつ高密度化と高性能化を実現できる点だという。
A16の性能としてはN2P比で、同じVdd(正電源電圧)で8~10%の速度向上、同じ速度で15~20%の電力削減、最大1.10倍のチップ密度向上を実現できるため、高性能コンピューティング(HPC)などでの活用に最適だとしている。



