サムコが化合物半導体向けALE装置を発売

京都の中堅半導体装置メーカーであるサムコが、GaNやSiCなどの化合物半導体ウェハに対する原子層レベルでの精密なエッチング制御を可能にするALE(Atomic Layer Etching)装置として、研究開発向けとなる4インチウェハ対応品「RIE-400iP-ALE」および量産向けとなる8インチウェハ対応品「RIE-800iPC-ALE」の本格販売を開始したことを明らかにした。これらの装置はすでに一部の国内外の大学ならびに研究機関に向けて販売・納入済みであるという。

  • 研究開発用の4インチウェハ対応ALE装置「RIE-400iP-ALE」

    研究開発用の4インチウェハ対応ALE装置「RIE-400iP-ALE」 (出所:サムコ)

  • 量産対応の8インチウェハ対応ALE装置「RIE-800iPC-ALE(最大径8インチ対応)

    量産対応の8インチウェハ対応ALE装置「RIE-800iPC-ALE(最大径8インチ対応) (出所:サムコ)

低消費電力化に向けて期待される次世代パワー半導体

生成AIの普及に伴うデータセンターの処理負荷増大や電力消費量の増加を受け、電力変換効率と高周波特性に優れたGaN系デバイスへの期待が高まっている。一方で、GaNは化学的に安定かつ原子間結合が強固であるため、従来のICP-RIEによる加工ではイオンの物理的衝撃に依存せざるを得なかったため、デバイスへのダメージが発生してしまい、リーク電流の増大などの特性劣化を招くことが技術的な課題とされてきた。

原子層エッチング(ALE)は、そうした課題を解決することが期待される技術で、プロセスを「表面改質」と「除去」のステップに分離し、低速かつ自己律速(Self-limiting)的に原子層1層ずつを除去する手法である。これによりプラズマダメージを最小限に抑え、GaN系デバイスのゲートリセス加工などにおいてナノレベルの精密制御と理想的な界面形成を実現することが可能になるという。

GaN/SiCのみならずMEMSやナノテクなどでも活用期待

製品の特長として以下の3点があるという。

  1. 原子層レベルの超精密加工
  2. 低ダメージプロセスの実現
  3. 高い選択比

原子層レベルの精密加工としては、反応性ガスの吸着工程とイオン照射による除去工程を交互に繰り返すことで原子層単位での深さ制御を実現しており、これにより従来の連続的なエッチングでは困難だった平坦性と均一性を確保できるとする。

また、低ダメージプロセスとしては、イオンエネルギーを精密に制御することで、結晶構造へのダメージを低減できるため、界面準位密度を抑えることが重要なHEMTなどのデバイスの特性向上につながることが期待されるという。

そして、選択比については、材料ごとの化学的性質を利用する自己律速(Self-limiting)により、特定の材料のみを選択的にエッチングすることを可能としたとのことで、これにより微細なトレンチ構造やゲートリセス加工において、通常のICPプロセスより高い選択比を実現できるという。

なお、同社では主な用途として、GaN系パワーおよび高周波(RF)デバイス向けAlGaNのゲートリセス加工やp-GaN/AlGaNの高選択比加工、SiCパワーデバイスのトレンチ加工、InPやGaAs系フォトニック結晶の加工、MEMSの加工、ナノテクノロジー研究開発などを挙げている。