ベルギーimecは、同社の300mm CMOSパイロットラインで開発されたメタサーフェイス上にコロイド状量子ドットフォトダイオード(QDPD)を集積することに成功したと発表した。

このアプローチについてimecでは、小型・小型化された短波赤外線(SWIR)スペクトルセンサ開発のためのスケーラブルなプラットフォームを実現し、コスト効率に優れた高解像度スペクトルイメージングソリューションの新たな基準を確立するものとなると説明している。

  • メタサーフェイス上にコロイド状量子ドットフォトダイオード集積した300mm CMOSウェハ

    (左)メタサーフェイス上にコロイド状量子ドットフォトダイオード集積した300mm CMOSウェハ、(右)QDPDの断面写真 (出所:imec)

SWIRセンシングの新たな可能性を引き出す

SWIRセンサは、可視スペクトルを超える波長を検出することで、人間の目には見えないコントラストや特徴を捉えることができ、プラスチックや布地などの特定の素材や、霞や煙などの厳しい環境下でも見通すことができるという機能を備えている。しかし、従来のSWIRセンサは高価でかさばり、製造も難しいため、ニッチな用途に限られていた。

今回開発されたSWIRセンサである量子ドット(QD)イメージセンサは、低コストと高解像度を兼ね備えた有望な代替手段となることが期待されているが、これまでQDイメージセンサはスペクトルモードではなく広帯域での動作に限られていたという。

imecは今回、コロイド状量子ドットフォトダイオード(Colloidal Quantum Dot Photodiode:QDPD)と、300mm CMOSパイロットラインで製膜されたメタサーフェイスを融合させることでこの課題に対処した。

量子ドットは特定の赤外線波長を吸収するように調整可能なナノスケール半導体であり、メタサーフェイスは光とセンサの相互作用を精密に制御するナノパターン化された超薄層のことである。これらの要素をCMOS互換プロセスで組み合わせることで、imecは小型SWIRスペクトル検出器用のスケーラブルなプラットフォームを開発し、標準CMOSプロセスで製造可能なコンパクトで高解像度のセンサアーキテクチャを実現したという。

  • メタサーフェイス上に集積したQDダイオードのEQEスペクトル測定結果

    メタサーフェイス上に集積したQDダイオードのEQEスペクトル測定結果 (出所:imec)

imecの研究開発プロジェクトリーダーであるウラジミール・ペヨビッチ氏は、「この技術の特に際立った特徴は、その拡張性である。従来の量子ドットイメージセンサでは、波長ごとに複雑なフォトダイオード層を再設計する必要があり、各アプリケーションのスペクトルへの調整が複雑でコストがかかった。私たちのアプローチは、その複雑さをCMOSレベルに移行し、フォトダイオードスタックを変更する代わりにメタサーフェイスを用いてスペクトル応答を調整している。これにより、容易にカスタマイズ可能な高解像度スペクトルSWIRセンサへの道が開かれ、セキュリティ、農業、自動車、航空宇宙などの分野で新たな機能を実現する道が開かれる」と述べている。

また、同氏は「この画期的な成果は、量子ドットイメージセンサ、平面光学(メタサーフェイス)、スペクトルイメージングにおけるimecの専門知識を融合させた、学際的な取り組みの成果である。次のステップは、この技術を概念実証から少量生産、そして最終的には本格的な量産へと拡大することである」と今後の抱負を述べ、商用化に向けた動きを加速させるため、imecとしてパートナーとなる企業に向けた協力を呼びかけているという。