QFNパッケージを採用した65W対応のGaNフライバック・コントローラ

STMicroelectronics(STマイクロエレクトロニクス)は12月1日、700VのGaNトランジスタと擬似共振PWMコントローラICを5mm×6mmのPower QFNパッケージに集積した「VIPerGaN」シリーズの新製品として65Wフライバック・コンバータ「VIPerGaN65W」を発表した。

  • 「VIPerGaN65W」

    「VIPerGaN65W」のパッケージイメージ (出所:STMicroelectronics)

独自技術で効率を最適化

同製品は、ゼロ電圧スイッチング(ZVS)による擬似共振モードで最大負荷まで動作することができるほか、中負荷から高負荷時には、スキップする谷の数を安定化する独自技術「バレースキッピング」により効率を最適化できるようになるため、オーディオ周波数のノイズが抑えられ、静かな動作が実現されるとする。また、軽負荷時には周波数の折り返しにより周波数を低減し、無負荷時には消費電力を30mW以下にまで抑えるバーストモードで動作することで、エコデザイン規制にも対応することができるともする。

加えて、集積されているゲートドライバは、GaNトランジスタのパラメータに合わせて微調整されており、外付け部品を追加しなくてもスイッチングを最適化できるため、製品開発期間の短縮のほか、電力密度の向上や外付け部品点数の削減が可能なほか、高電圧起動回路や、電流を正確にモニタするセンスFETも集積されているとする。

このほか、通常のフライバック回路に比べて性能を高める高度な電源制御機能を搭載しており、そのうちの1つライン電圧フィードフォワード機能を活用することで、電源電圧の変化に伴う出力電力の過度な増加を防ぐことができるようになるとするほか、ダイナミックにブランキング時間を変える機能により、動作周波数を制限することでスイッチング損失を最小限に抑えることができるとする。

なお、同社では同製品を活用することで高品質かつコスト効率の優れたUSB-PDチャージャや急速バッテリチャージャ、補助電源などを開発する機会を広げることができると説明しているほか、24V/65Wの絶縁型フライバック・コンバータ、2次側に同期整流を実装し、90V~265Vで動作するあらゆるAC入力電圧に対応する評価ボード「EVLVIPGAN65WF」を活用することで、VIPerGaN65Wの特徴を確認でき、プロジェクト期間の短縮を図ることができるようになるとしている。

すでに同製品は量産中で、単価は1000個購入時に約1.19ドルとしている。