営業利益の黒字化を達成、通期見通しを上方修正

ロームは11月6日、2026年3月期中間期(4-9月)決算を発表した。それによると、売上高は前年同期比5.3%増の2442億円、営業利益は当初の計画では赤字を見込んでいたものの、最終的には76億円の黒字化を達成したとするほか、純利益も同398.9%増の103億円と計画を上回ったとする。

  • ロームの2026年3月期上期決算の概要

    ロームの2026年3月期上期決算の概要 (出所:ローム)

また、この結果を受けて、通期の業績見通しについても上方修正を実施。その結果、通期の売上高は期初の4400億円から4600億円に、純利益も期初の70億円から90億円へと引き上げた。上昇要因として同社 代表取締役社長 社長執行役の東克己氏は、「自動車の回復と民生分野での日本の顧客からのアミューズメント関連が伸びたことが大きい。自動車関連は欧州での伸びが太陽光パネルを含めてxEV向けSiCパワー半導体の採用が進むため」と説明する。

  • 2026年3月期通期業績を上方修正

    2026年3月期通期業績を上方修正 (出所:ローム)

特に、xEV向けSiCパワーデバイス関連は欧州のほか、中国でも堅調に推移しているとの見通しを示しており、プラス成長の方向に向かっていることを強調する。

上期の売上高2442億円をセグメント別に見ると、LSIが46.8%(1142億円)と最大で、次いで半導体素子が40.9%(999億円)、モジュールが7.0%(171億円)、その他5.3%(128億円)とする。また、国・地域別で見ると、アミューズメント関連で伸びた日本が53.1%(1298億円)ともっとも高く、次いで中国の15.7%(383億円)、米国の11.5%(281億円)、その他アジアの9.9%(243億円)、欧州の9.8%(238億円)としている。

また、上方修正した通期見通しについては、セグメント別ではLSIが46.3%(2128億円)、半導体素子が42.4%(1948億円)、モジュールが6.3%(289億円)、その他5.1%(234億円)とする。また、国・地域別では、日本が52.9%(2432億円)とするほか、中国が14.7%(677億円)、米国が11.2%(513億円)、欧州が11.4%(522億円)、その他アジアが9.9%(456億円)としている。

2026年度からの中期経営計画を策定

東氏は、「昨年度から取り組む構造改革は着実に進行しており、収益性の改善に関する道筋が見えてきた」と市場の回復と社内の体制整備の両方が進んできたことを示し、さらなる飛躍に向けて2026年度から2028年度の3か年を対象とした第2期中期経営計画“MOVING FORWARD to 2028”(第2期中計)を策定したことを決算発表と併せて明らかにした。

同社は2035年に半導体技術で存在感を示すグローバル企業を目指すことを掲げており、特にパワー・アナログ半導体分野で世界トップ10に入ることを目指している。今回の第2期中計は、その実現に向けた2028年までの体制構築のためのものとなるという。

  • 第2期中計の位置づけ

    第2期中計の位置づけ (出所:ローム)

具体的には、2028年度に売上高5000億円以上、営業利益率20%以上、ROE9%以上という財務目標を掲げるほか、2018年度比で温室効果ガスの排出量を50.5%削減、再生可能エネルギーの2050年度導入比率100%に向けた推進、廃棄物ゼロエミッション化なども掲げられている。

この5000億円の内訳としては、不採算事業の縮小なども進めることでポートフォリオの変換を図っていくとするほか、大きく伸ばすのはパワーデバイスとの方向性を示す。

また、持続的に利益を生み出せる利益体質への転換に向けて、同社が創業以来培ってきた強みを進化/深化させ、これからの成長につなげていくとする。もともと、顧客志向と尖った技術が継続してできていたことが成長につながっていたという考えを踏まえ、その取り組みを継承。それを支えるのがIDMとしての事業体制であり、品質管理や安定供給といったIDMの強みを生かした形で創意工夫を進めていくとするほか、顧客の真の課題を解決する開発力をもとにしたスペシャリストとインテグレーター人財を組み合わせた課題解決能力の提供や、独自の技術による付加価値の提供を目指すとする。

パワー・アナログを軸に長期的な成長を目指す

具体的な事業戦略としては、LSIについては収益性を改善させることで全社の利益率をけん引する事業へと成長させることを目指す。その売上高と利益率は2028年度で2150億円以上、23%以上としており、不採算なものから撤退し、利益が取れるものに集中していくとする。

コスト削減と売り上げを伸ばすという両立を図ることを基本線とし、高収益および成長分野へ開発リソースを振り分け、製品ラインナップの拡充を図っていくとする。また、さまざまな独創的な技術を活用した競争力の確保を進めていくとするほか、開発効率の向上として、独自のシミュレーションの活用による手戻りの減少による開発リードタイムの短縮や、生産性向上、変動費の削減、歩留まり向上などに向けて量子アニーリングを活用した工程の最適化なども進めていくとしている。

汎用・その他事業については、2028年度で売上高1100億円以上で営業利益は22%以上を目標とする。製品ポートフォリオの適正化による高収益化の推進と、センシング向けに使えるオプトデバイス技術を進化させていくことで、次世代の柱に育てていくことを目指すとするほか、8インチ化の促進による生産性向上や、部材の使用量の削減による収益性改善を推進していくという。

そしてSiとSiCで構成されるパワーデバイス事業については、全体の売上高を1750億円以上、営業利益率を14%以上とする。最大のポイントは、SiC事業の黒字化の達成で、そのためにxEV向けインバータ市場での成長とSiCモジュール/ディスクリートの新商品ラインナップ拡充による産業機器向け高耐圧デバイスの開発、高性能モジュール開発による市場拡大を図っていくとする。また、SiC MOSFETの開発を前倒ししていくとのことで、第5世代のSiCについては計画通りに進捗しており、量産体制が確立され、現在は評価の段階にあるとするほか、研究開発を進めてきた第6世代についてもリリースを2年ほど前倒しで行える見通しとなったとする。加えて、8インチ化の推進とプロセス改善による歩留まり向上を図ることで事業の拡大を目指すとする。

2028年度までのSiC市場については、xEV向け主機インバータが事業のけん引役になると同社では見ているが、現在の2025年度では韓国、中国、日本の顧客に売れている状況で、そのうち中国が半数以上を占めている。しかし、2028年度にはすでにデザインウインが終わって、当該eEVが市場に投入される前提で考えると、台数ベースで見るとトップは欧州となるほか、米州も加わり、その台数は合計で2025年度比で約3倍に増加する見通しになるという。

「現時点でグローバルのOEM16社に主機インバータの納入が決定済みで、これは2028年度に約300万台のインバータ台数に相当する。SiCベアチップについては、中国のみならず欧米、日本のOEM案件が拡大しており、BEV以外にもPHEVやHEVへの採用も進んでいる。また、第5世代SiCの本格投入で競争力を強化するほか、半導体チップで売るだけではなく、より付加価値の高いモジュール『TRCDRIVE pack』の売り上げも伸びてきている」(同)と 自動車向けSiCパワーデバイス事業の成長性に手ごたえを感じているとし、その黒字化については2028年度には年間を通して達成できるとの見方を示す。

事業の改善ポイントとしては、8インチの増産ならびにエピタキシャルウェハの内製化比率の向上に加え、第5世代SiCは前世代比で結晶品質が向上することによる歩留まりの向上などを挙げており、「2028年度で黒字事業化になれるのを確信している」(同)とのことで、積極的に8インチSiCのキャパシティを増やしていくことを目指すとする。

また、市場成長が著しいAIデータセンター向けサーバソリューションについても、次世代の事業の柱に育てていくことを目指すとする。これに関しては、2028年度ではなく2030年度で300億円という目標を掲げており、LSIに限らず、パワー半導体各種、アナログ半導体各種、シャント抵抗器、シリコンキャパシタなど必要とするデバイスすべてをそろえていくとしており、電源からメインボードまで対応を図っていくことで、成長を目指すとしている。