ワークプレイスによって使えるツール環境が異なる状況は、想像以上に負担になる。すべての業務が細部にわたり定型的に確立されているようなソリッドな組織であれば、使うソフトウェアも限定的になる。
しかし、広範な業務で多様なツールが必須となるような分野では、ソフトウェア実行のためにツールや端末を変えたり、代替案を探したりと工夫が必要になる。個人生産性の負担にはなるがセキュリティのポリシーは組織によって異なるので、これは仕方のないことだ。
ワークプレイスで異なるブラウザ環境はシンドイ
筆者の場合はプライベートプレイスでは、Firefoxアドオン「Tridactyl」 を長年使っておりアドオンによる拡張を活かしたブラウジングをよく使う(記事)。Vimライクな操作で「:」から「o」pen 「キーワード」でブックマークや履歴、検索とずらっと候補が並び、Tabキーで候補から即座にURLへと飛べる。同様に海外サイトブラウジングのためには、Razer NAGAv2 Hyperの爆増ボタンに翻訳のアドオンのショートカットキーを配置することで、開いているページをそのまま瞬時に翻訳という使い方だ。
しかしワークプレイスでは、FirefoxのTridactylは十分に使えない。インターネットに繋がる一番の窓口であるブラウザは趣味からゲーム、仕事にと様々な用途で使われるが、ブラウザにアドオンやショートカットでの機能を重装備しているため、代替案の模索が必須になってきた。いろいろ試しているとChromeとEdgeにおいて同様のVimライクを実現する「Vimium」は動作する。こちらはクロスブラウザで使えてユーザーも多く、使っている方も多いのではないだろうか。
しかし、海外情報の概要をつかむ翻訳機能をショートカットで使える方法が見当たらない。普通にマウスでクリックすればいいじゃないか?という意見もあるだろう。しかし、クリック1回でページ翻訳に慣れるとそこには戻れない・・・・
ブックマークレットとは?
活用の幅のありそうな「ブックマークレット」を試してみることにした。ブックマークレットは、JavaScriptの生みの親であるブレンダン・アイク氏(Brendan Eich)が開発したブラウザのブックマークから起動するJavaScriptで、先頭にjavascript:を書いてJavaScriptを実行できるものだ。
javascript:alert('HelloWorld');
実行するには、通常のブックマーク追加と同様に各ブラウザの「ブックマークを追加」で出てくるダイアログで出てくる「名前」と「URL」のURL欄にコードをそのまま入力する。名前には、あとからショートカットで呼び出しやすいように"Google翻訳"と入れる。
これをブックマークから呼び出すと
背景色を読みやすい色に変えるリーダーモードやダークモードはブラウザに欠かせない人気の機能で様々な方法で提供されているがブックマークレットでは、
javascript:(function(){document.body.style.backgroundColor='black';document.body.style.color='white';})()
これを目的のページを開いた状態で実行すると、以下のような黒/白での本文表示になる。
"Vimium"と"ブックマークレット"で瞬間翻訳
単純な情報取得目的でGoogle翻訳を行うには、Web版Google翻訳のhttps://translate.google.com/?のあとのクエリパラメータにsl(翻訳言語)=auto、tl(翻訳先言語)=ja、翻訳対象URLであるu=指定して、現在ページlocation.hrefをencodeURIComponent()でエンコードする。
javascript:window.open('https://translate.google.com/translate?sl=auto&tl=ja&u='+encodeURIComponent(location.href))
こうしておけば、"Vimium"をインストールしたGoogle Chromeでは、ブックマークを開く「b」を押して、操作ダイアログを開き「g」でブックマークレットにあるGoogle翻訳を候補に出して即、開いているページをGoogle翻訳するというコンボが可能になる。Microsoft Edgeでも同様に動作する。「b」と「g」キーの2回と「↓」キーかTabという工程はマウス1ボタンよりはかかるが、相当軽快な操作だ。
ただしGoogle翻訳は個人利用が原則であり、純然たる業務には使えないことになっている。業務利用ではGoogleに限らず商用APIを用いた方法、商用可能なローカルLLMからAPIでURLを取得するなど、万全を期したシステム構築が良いであろうと思った次第。







