米国の大手半導体製造装置メーカーであるApplied Materials(AMAT)が、従業員の4%に相当する人員の削減を予定していることが、米国証券取引委員会(SEC)へ提出したForm K-8(株価に影響を与え得る重大な事象が生じた際にSECへの提出が義務付けられている臨時報告書)および同社のゲイリー・E・ディッカーソン社長兼CEOが全従業員にあてたメールで明らかになった。7月末時点の従業員数3万6100人をあてはめると、削減対象は1400人超となる見通しである。
米国政府による半導体関連の対中輸出規制の強化の影響で、同社の最大市場である中国での販売が低迷してきたことを受けたリストラとみられている。同社は今回のリストラを、より競争力と生産性の高い組織に再構築するためと従業員向けに説明しており、「自動化やデジタル化、地政学的な市場のシフトで求める人材が変わった」と述べている。
今回の人員削減は部門を問わず全社が対象となる模様で、関連費用は1億6000万~1億8000万ドルほどとみられ、その大半を2025年度第4四半期(2025年8~10月)に計上し、2026年度第1四半期(205年11月~2026年1月)中に完了する予定としているが、実際のリストラのタイミングは各国の法的要件や各地域事業所の置かれた状況により決定するという。
売上高下落の懸念をSECに報告
米商務省は9月下旬に、半導体製造装置の輸出を制限する中国企業のリストを拡大した。その影響についてAMATは、2025年度第4四半期の売上高が約1億1000万ドル、2026年度の通期売上高が6億ドル程度減る見通しを10月頭にSECに報告していた。同社の2025年度第3四半期売上高の中国向けが占める割合は35%で、8月時点で2025年度第4四半期売上高は前年同期比5%減との見込みを出していた。
米下院委員会は日蘭の半導体製造装置の対中輸出禁止も主張
米下院の「中国に関する特別委員会」が2025年10月初旬に発表した報告書によると、中国の先端半導体製造能力を制限する米国と同盟国の取り組みに抜け穴があり、2024年に中国が世界の主要半導体製造装置メーカー5社(ASML、AMAT、Lam Research、KLA、東京エレクトロン(TEL))から高度な半導体製造装置を法律に違反しない形で380億ドル相当購入していたという。
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米国連邦議会下院の特別委員会が発行した報告書「中国共産党は半導体製造に使う主要装置をいかにして英国、オランダ、日本企業から獲得したか」 (出所:The Select Committee on the Chinese Communist Party
報告書では米国の歴代政権は、安全保障上の懸念から中国の半導体生産能力を制限する取り組みを進めてきたが、米国、日本、オランダの規制の整合性が取れていないため、米国企業が中国向けに販売できない装置を、米国以外のメーカー(ASMLやTELなど)が中国に販売していると指摘しており、同委員会は、米国企業による中国の特定の半導体メーカーに対する限定的な禁輸措置ではなく、同盟国全体(米日蘭など)で中国への半導体製造装置の販売をほぼ全面的に禁止すべきだと主張している。
なお、Lam ResearchやKLAなど米国の大手半導体製造装置メーカーは、AMATと同じように中国の割合が高いことから、今後、業績の悪化やリストラが懸念されている。

