MIYOSHI(ミヨシ)・代表取締役・佐藤英吉が語る「『寄付のための会社』をつくって」

「自分にゆとりができるのを待って人を救おうとするならば、いつまで経っても人を救う日はおとずれない」─。渋沢栄一が埼玉県立川越高校に贈ったこの言葉は私の心に残り続けています。

 私は寄付が社業の原動力になると考えています。なぜなら、寄付をすることによって社会貢献に資することはもちろん、理念に共感した人材が全国から集まって来てくれるからです。そういった人材が集まれば、自ずと製品に磨きはかかりますし、画期的なアイデアが生まれます。

 当社はこれまで累計3.6億円の寄付をしてきました。年間の寄付の総額は会社の年度予算にも計上し、社員にも公表しています。当社を設立した翌年の2003年から始めた教育支援をはじめ、子ども食堂支援、難民支援などに寄付しています。他にも地元の小・中学校からランドセルを募り、アフガニスタンの子どもたちに贈る取り組みも行っています。

 寄付する分野は、平和・教育・環境・福祉・文化・スポーツの6つです。前述以外にも、ファーストリテイリング様やキヤノン様、ソニーグループ様などと並んで難民映画祭のスポンサーに手を挙げたほか、21年からは女子ゴルファーの支援も行っています。また、地元の小学生と一緒に監視カメラを組み立てて寄贈する体験型社会科見学や高校生のビジネスコンテストの支援なども行っています。

 私にとって「寄付のための会社」という考え方は母親の影響とも言えます。ピアノの講師だった母は私が小学生のときにがんの宣告を受けました。その後に知り合ったフィリピン人と交流する中で、フィリピン国内の学校に楽器がないことを知ったのです。そこで母は日本で使われなくなったハーモニカやカスタネットを集めてフィリピンに贈る活動を始めました。病気の身体で現地を27回訪れ、子どもの私も同行しました。贈る側と贈られる側の双方を間近で見たこと、がんで苦しみながらも社会に貢献しようとする母の姿は目に焼き付いています。

 さて、肝心の寄付の財源はどう賄っているのか。当社は先ほどのカンタン監視カメラ「G―cam」の開発・製造・レンタルを主力事業としています。全国に8600台超をレンタルし、主に建設現場で稼働しています。昨年にはポケットサイズのウェアラブルカメラ「G︱POKE」も開発しました。

 G―camは雨風に強く、現場で電源を挿すだけの簡便性が特長です。手元に届けばすぐに設置して利用できます。そのため、建設業や警備、農業、イベント、駐車場といった現場での防犯対策をはじめ、安全管理や進捗管理などに利用されており、困ったときは担当者と話せる電話サポートも用意しています。

 モバイルSIMと設定済みのルーターを内蔵しているので、複雑なネットワーク設定も不要です。商社などを介さず、工場から直送しているため、低コストを実現しています。このG―camが事業の安定収益につながっているというわけです。

 もともとは電子機器の下請け製造業でしたが、なかなか競争力を上げることができなかったのも事実です。そこでお客様からの相談をきっかけに、手作りで開発しました。ですから、他社が簡単に真似できないという点も強みと言えるでしょう。

 安定した事業があり、当社の理念に心から共鳴する社員がいることで利益を生み出し、寄付ができています。世界平和を実現するためにも、微力ながら当社ができることをやっていきたいと思っています。

日本古来の〝共生の思想〟 【私の雑記帳】