Bleeping Computerは9月25日(米国時間)、「Microsoft will offer free Windows 10 extended security updates in Europe」において、Windows 10デバイス向けの拡張セキュリティ更新プログラム(ESU: Extended Security Update)が無償提供されると伝えた。
すでに「PCの設定とアプリを同期する」ことを条件に無償での提供が行われているが、欧州経済領域(EEA: European Economic Area)に居住するユーザーに限り、条件のない無償提供を実施するという。
消費者保護団体の圧力を受けて方針転換
Bleeping Computerによると、Microsoftはルクセンブルクを本拠地とする消費者保護団体「ユーロコンシューマーズ(Euroconsumers)」の圧力を受けて本件の決定を下したとされる。同団体はMicrosoftへの書簡で次のように述べたという。
「Microsoftが欧州経済領域(EEA)のWindows10コンシューマーユーザー向けに、無償の拡張セキュリティ更新プログラム(ESU)オプションを提供することを知り喜ばしく思います。ユーザーが設定、アプリ、資格情報をバックアップしたり、Microsoft Rewardsを使用したりする必要がない点も歓迎します」
また、同団体は過去のWindowsバージョンが、新しいWindowsリリースから7年以上サポートされていたことを指摘し、Windows 10も延期するように要請したという。この点については今のところ受け入れられる様子はなく、1年間となる個人向け拡張セキュリティ更新プログラムの提供期間は堅持されている。
Microsoftアカウントは必要
条件のない無償提供と発表されたが、利用するにはMicrosoftアカウントが必要となる。欧州経済領域(EEA)の個人ユーザーは、他の地域のユーザーと同様に、Microsoftアカウントを使用してサインインし、拡張セキュリティ更新プログラムを登録することになる。
Microsoftアカウントによるサインインが60日間確認できない場合、拡張セキュリティ更新プログラムは中止される。中止された場合は同じアカウントでサインイン後に再登録が可能となる。
なお、無条件提供が全世界に波及する可能性は低いとみられる。要求受け入れの背景には欧州連合(EU: European Union)のデジタル市場法(DMA: Digital Markets Act)の存在があり、Microsoftは同法に抵触しているとの疑念を払拭するために受け入れた可能性が指摘されている。
Windows 10のサポートは10月14日に終了する。その後も継続してセキュリティ更新プログラムの提供を受けるには、拡張セキュリティ更新プログラム(ESU)に登録する必要がある。国内ユーザーに無条件での提供はないが、無償提供を受けることはできる。「Windows 10を無償で延長する方法 - 拡張セキュリティ更新プログラム(ESU)の登録方法 | TECH+(テックプラス)」などを参考に、Windows 11へ移行するか、拡張セキュリティ更新プログラムに登録するか判断することが望まれている。
