キャディは6月25日、同社が提供する製造業AIデータプラットフォーム「CADDi」を島精機製作所が導入し、調達プロセス改革と製品仕様の再定義を通じた国際競争力の強化に取り組むことを明らかにした。
激化する価格競争 - データ活用による企業戦略強化に期待
1962年創業の島精機製作所は、ニット製造機器のパイオニアとしてグローバルのファッション市場へ製品を展開してきた企業。最先端の「ホールガーメント技術」をはじめとする高度な自動化・デジタル化を実現した横編機の開発・製造を実行し、無縫製で立体的な編み方を可能にする「ホールガーメント横編機」を提供している。
近年のファッション業界においては、従来の品質・耐久性を重視する価値観から、よりコストに重きを置く考え方へと移行が進み、価格競争力を持つ製品が急激にシェアを拡大している。島精機製作所が主力事業とする編機分野においても、中国メーカーをはじめとする海外勢の台頭によって、編機本体に加え部品販売領域においても価格競争が年々加熱。マス市場では将来的に、競争環境がより一層厳しくなる可能性も視野に入れる必要が生じているという。
こうした市場環境の変化を背景に、島精機製作所は、マス市場向けコンピュータ横編機への顧客ニーズに応えるべく、製品仕様の再定義を進めてきたとのこと。しかし過去の部品データの調査や類似図面の比較、部門間の情報共有に多大な時間を要する上、調達業務も属人していたことから、効率的なコスト分析やデータに基づく戦略的な調達活動の推進が困難な状況であり、仕入れ先との十分な対話や関係構築にも課題を抱えていたとする。
そこで同社は、今般策定された中期経営計画「Ever Onward 2026」に基づき、価格競争への対応に留まらず、自社の強みを最大限に生かした製品開発を進める方針を決定。実現のための具体的な手段として、関連会社であるシマファインプレス、海南精密とともに、キャディが提供する製造業AIデータプラットフォームのCADDiを導入した。
製造業データ活用クラウドの「CADDi Drawer」および製造業AI見積もりクラウドの「CADDi Quote」という2つのアプリケーションからなる同プラットフォームは、エンジニアリングチェーン・サプライチェーン上に点在するデータを解析し関連付けて、インサイトを抽出することで、生産活動と意思決定の高度化に貢献するという。島精機製作所はその活用により、製品ごとの品質基準の見極めや、コスト構造の透明化、調達先との効率的なコミュニケーションを図ることで、マス市場向けコンピュータ横編機の製品仕様再定義を加速させていくとしている。