IITCでimecが低抵抗な16nmピッチRu配線を発表

韓国釜山で6月2〜5日にかけて開催されている半導体前工程の配線に関する世界最大級の学会「2025 IEEE International Interconnect Technology Conference(2025 IITC)」において、ベルギーimecが、平均抵抗656Ω/μmという低抵抗な16nmピッチRu配線を発表した。

  • Ruエッチング後の16nmピッチRuラインのTEM画像

    Ruエッチング後の16nmピッチRuラインのTEM画像 (出所:imec)

  • 16~22nmの金属ピッチでの10μm長Ru配線の4点抵抗測定結果

    16~22nmの金属ピッチでの10μm長Ru配線の4点抵抗測定結果 (出所:imec)

ルテニウム(Ru)を用いたセミダマシンプロセスは、金属ピッチが20nm未満に縮小した際にCuデュアルダマシンに関連する抵抗-容量(RC)遅延の懸念が増大する問題に対処するためのモジュールアプローチとしてimecによって提案された技術。セミダマシンは、最初のローカルインターコネクト金属層(M0)の直接エッチングを経て、複数層への拡張を可能とする2層のメタライゼーションモジュール技術で、imecは2022年に18nmピッチで直接エッチングされた低抵抗Ru配線の実験的実証を報告していた。

将来の高い製造性を確保するために必要な3つの要素

今回の研究では、平均抵抗が656Ω/μmという低抵抗を実現した16nmピッチのダイレクトエッチングRu配線技術を実現した。16nmピッチのRu配線構造の40%が、薄膜抵抗率に基づく予測値である抵抗目標値を満たしたとのことで、これは8nm幅のローカルインターコネクトに相当するという。また、18~22nmピッチの範囲では、ウェハ全体の歩留まりは90%以上を達成したともしている。

imecでは、高い製造性を確保するには、統合フローにおける以下の3つの重要な要素が重要だと指摘している。

  1. ハードマスク、スペーサー、ギャップフィルに安価な酸化物および窒化物ベースの材料を選択すること
  2. 最適化されたSiO2ギャップフィルと組み合わせたパターン反転ステップの実装
  3. 配線ブリッジ欠陥を回避するためにSiNハードマスクの酸化を最小限に抑える、改良されたRuエッチングステップであること

IITC全体で20件の発表を行ったimec

imecのナノインターコネクトプログラムディレクターのソンホ・パーク氏は、「現在、産業界はRuのダイレクトメタルエッチングを採用しているが、imecは将来を見据えてセミダマシンフローのさらなる最適化や新たな統合オプションについて議論している。IITCの招待講演では、2メタルレベルスキームに向けて統合拡大の鍵となる、ピラーベースのFSAVアプローチの進歩を示したほか、その他の講演でもRuパターン形成の最適化や熱誘起の形態変化を緩和する戦略を紹介した。加えて、すでにエピタキシャル成長させた25nmのRu薄膜で、より低い抵抗のインターコネクトを実現し、薄膜状態でRuのバルク抵抗に近づけることを実験的に実証している」とRuの配線活用に向けた研究の状況を説明している。

2025 IITCにおいてimecは招待講演2件を含む20件の発表を行っており、今後10年間のインターコネクトロードマップの推進におけるimecとそのパートナーの主導的な役割を確固たるものにしたと主張しているほか、今回の16nmピッチの金属配線については、0.7nmプロセス(A7)以降のテクノロジーノードにおける最初のローカルインターコネクト金属層(いわゆるM0)の製造に魅力的なアプローチとなると説明している。