性能を向上させた新たなSPICEモデルを開発
ロームは5月29日、収束性とシミュレーション速度を向上させたSPICEモデル「ROHMレベル3 (L3)」を開発、公開したことを発表した。
電子回路のアナログ動作をシミュレーションするソフトウェアであるSPICEは、半導体設計におけるシミュレーション検証として活用されるが、パワー半導体分野においては、そのモデルの精度がデバイスの損失に影響をおよぼし、結果としてシステム全体の効率にも影響することとなるため重要視されている。
これまで、同社でもSiC MOSFET用SPICEモデル「ROHMレベル1 (L1)」を提供してきたが、各特性の再現性を高めることで、高精度なシミュレーションのニーズに対応してきた一方、シミュレーションの収束性や演算時間の長さといった課題があり、改善が求められていたという。
従来モデル比でシミュレーション時間を半減
今回、新たに開発されたL3では、シンプルなモデル式を採用することで、計算の安定性とスイッチング波形の精度を維持しつつ、従来モデルであるL1に比べてシミュレーション時間を約50%短縮することを可能としたとする。これにより、回路全体の過渡解析を高精度かつ短時間で実行可能とし、アプリケーション設計段階におけるデバイス評価や損失確認の効率化を図ることが可能になるという。