高速起動に対応するGaNデバイス向けゲートドライバ
STMicroelectronics(STマイクロエレクトロニクス)は、GaNアプリケーションに最適化した高電圧ハーフブリッジ・ゲートドライバ「STDRIVEG610」および「STDRIVEG611」を発表した。
STDRIVEG610は、300ナノ秒という高速な起動に対応し、LLCコンバータやACF(アクティブクランプ・フライバック)コンバータなどでの利用が想定されているゲートドライバ。一方のSTDRIVEG611は、モーション制御アプリケーションのハードスイッチング向けに最適化されており、ハイサイドの低電圧ロックアウト(UVLO)およびスマートシャットダウンによる過電流保護などの追加保護機能を備えているという。
2製品ともにハードスイッチングおよびソフトスイッチングという両方のトポロジに適しており、組み込みインターロック機能によってクロスコンダクションによる貫通電流を防止することができるとする。
また、設計を簡略化するため、両製品ともハイサイド・ブートストラップ・ダイオードと6Vのハイサイド/ローサイド・リニア・レギュレータを集積しており、大電流能力と10ナノ秒未満に揃った短い伝播遅延時間を特徴としているほか、最適な駆動を実現するために各ドライバは別々のシンク/ソース経路を持ち、2.4A/1.2Ωのシンクパラメータと1.0A/3.7Ωのソースパラメータを備えているという。
さらに、集積されているUVLO保護機能が、低効率や危険な状態での動作を防ぎ、ローサイド/ハイサイドの600V GaNパワースイッチを保護するほか、過熱保護機能も備えており、最大±200V/ナノ秒までのdV/dt耐性があるともする。加えて、入力ピンの電圧範囲が3.3V~20Vと広いため、コントローラのインタフェース回路を簡略化できるほか、待機中あるいはバーストモードでの電力を節約するためのスタンバイピンおよび、ケルビン・ソース駆動や電流シャント抵抗接続用の独立したパワー・グランドも備えているとする。
QFNパッケージで量産提供を開始
主なターゲットとしては、STDRIVEG610が電源アダプタや充電器、力率改善(PFC)回路など、STDRIVEG611が生活家電や、ポンプおよびコンプレッサ、産業用サーボドライバ、FA(ファクトリオートメーション)などとしており、いずれも4mm×5mmのQFNパッケージで量産が進んでおり、単価は1000個購入時で約1.56ドルとしている。