ベルギーimecと光学およびオプトエレクトロニクス大手の独Karl Zeiss(ZEISS)傘下のマイクロチップ製造用のレンズやミラー、フォトマスクといった主要コンポーネントのサプライヤである独ZEISS Semiconductor Manufacturing Technology(SMT)が、サブ2nmプロセスの研究開発に向けた先端半導体技術と製造専門知識を活用して、imecがEUなどからの資金援助で建設中のサブ2nmの「NanoICパイロットライン」の進展に向けた戦略的パートナーシップ契約を締結したことを発表した。

すでにimecはASMLと3月11日付でサブ2nmプロセス技術開発に向けた戦略的パートナーシップ契約を締結しており、今回の契約はそれに続くものとなる。

今回の契約内容は、2019年から続いているimecとZEISSの戦略的パートナーシップを2029年まで延長するもの。1997年以降、両社はムーアの法則の発展に向けたさまざまな共同プロジェクトに取り組んできた間柄だという。 今後、imecとZEISSは、高NA(NA=0.55)EUVリソグラフィなどの主要な半導体製造技術の進歩に向けて共同で取り組むこととなり、これにより人工知能(AI)、自動運転、インダストリー4.0、医療技術とエネルギー転換の画期的なソリューションなどの主要技術の基盤となる、エネルギー効率の高い先端マイクロチップの製造が可能になるという。

  • ZEISS SMTが開発した高NA EUV露光装置向けの光学システム

    ZEISS SMTが開発した高NA EUV露光装置向けの光学システム (出所:ZEISS SMT)

2nm以降を見据えたimecのパイロットライン

また契約の一環として、ZEISSは半導体製造における製造、プロセス、測定技術を進歩させる研究プロジェクトに参加するだけでなく、戦略的パートナーであるASMLの露光装置に統合されたさまざまな製品世代の光学系をimecのパイロットラインに提供するサポートもしている。

ベルギーのルーベンで建設中のNanoICパイロットラインは、半導体製造のさまざまな技術分野だけでなく、価値創造プロセス全体を網羅したもので、エンドユーザー、サプライヤ、研究機関などの業界関係者に先駆的で高度な半導体技術とプラットフォームへのアクセスを提供し、イノベーションの探求、開発、テストを可能にすることを目的としている。imecでは、既存の機器、プロセス、測定方法の最適化も進められており、より小型で強力でエネルギー効率の高いマイクロチップを実現し、世界的なデジタル化を推進してきたが、そうした高度のパターニング、3次元実装、光インターコネクトなど、さまざまな業界パートナープログラムにZEISSが関与することで、コラボレーションが深まっていくことが期待されるという。すでに、これらのプログラムでは、次世代半導体のプロセス最適化に向けた先端プロセスおよび検査方法について共同で研究開発が行われているとする。

なお、imecキャンパスにおけるNanoICパイロットラインの建設およびその運用は、EUのDigital EuropeおよびHorizon Europeプログラムを通じて Chips Joint Undertakingと、参加国であるベルギー(フランダース政府)、フランス、ドイツ、フィンランド、アイルランド、ルーマニアより資金提供されている。