ロームは、面実装型の近赤外LEDの新製品として、小型トップビュータイプを開発したと3月13日に発表。VR/AR機器や産業用光センサ、人感センサなどのアプリケーションを想定しており、月産100万個体制で量産開始している。サンプル価格は1個140円(税抜)で、オンライン購入も可能。

  • ロームが開発した、面実装型の近赤外LED

3パッケージ構成6機種をラインナップ。パッケージごとに850nmと940nmの波長をそろえ、用途に応じて選べるようにした(SML-P14RWのみ860nm)。独自技術を活かし、発光層構造を最適化した近赤外LED(NIR)素子を光源として搭載することで、小型パッケージでは難しいとされていた“業界トップクラス”の放射強度を追求した。

ラインナップは以下の通り。

PICOLEDシリーズ(超小型1×0.6mm・超薄型0.2mm)

  • SML-P14RW(ピーク波長860nm)
  • SML-P14R3W(同940nm)

狭指向性 円形レンズタイプ(業界標準サイズ1.6×0.8mm)

  • CSL0902RT(ピーク波長850nm)
  • CSL0902R3T(同940nm)

広指向性 フラットレンズタイプ(業界標準サイズ1.6×0.8mm)

  • CSL1002RT(ピーク波長850nm)
  • CSL1002R3T(同940nm)

ロームでは「850nmはフォトトランジスタやカメラ受光素子との相性が良く、VR/ARの視線追跡や物体検知など高感度が求められる用途に適する」、「940nmは太陽光の影響を受けにくく、発光時に赤く見えないため、人感センサなどに適する。生体センシング用途では、血流や酸素飽和度(SpO2)の計測にも利用される」と説明。具体的なアプリケーション例として、同社では以下を挙げている。

  • VR/AR機器(視線追跡、ジェスチャー認識)
  • パルスオキシメータ(血流・酸素飽和度計測)
  • 産業用光センサ(物体通過検知、位置検知)、セルフレジ(紙幣、カード検知)、モバイルプリンタ(紙検知)
  • 家電リモコン(IRデータ通信)、ロボット掃除機(床検知) など

VR/AR機器や生体センシング機器などにおいては、NIRを活用した高度なセンシング技術の需要が近年拡大している。これらの技術は、視線追跡や虹彩認証、血流・酸素飽和度計測などに用いることから高い精度が求められる一方、アプリケーションの小型・省電力化や設計の自由度向上も重要視される。産業機器においても、精密なプリンター制御や自動化システムの発展に伴い、近赤外LEDの役割が高まっている。

ロームは、設計自由度の向上に対応できる、小型パッケージや波長のラインアップを展開して顧客の選択肢を広げるとともに、高放射強度を実現することでアプリケーションの高精度化や省電力化にも寄与するとしている。