宇宙航空研究開発機構(JAXA)は2月6日、タカラトミー、ソニーグループ、同志社大学の3者と共同で開発した変形型月面ロボット「LEV-2(Lunar Excursion Vehicle 2、愛称:SORA-Q)」が、内閣府の主催する第7回日本オープンイノベーション大賞のうち、最も優れたものとして表彰される内閣総理大臣賞を受賞したこと、ならびに2月5日に表彰式が執り行われたことを発表した。
今回の受賞は、タカラトミーの玩具技術、同志社大学の小型ロボット開発技術、および、ソニーのIoTデバイス・イメージセンサ・画像処理技術をJAXAが有する宇宙関連技術と融合させ、超小型・軽量にも関わらず、月面を安定的に走行して自律制御で動作できるロボット(SORA-Q)を開発したことが評価されたもの。
SORA-Qは、直径約78mm、質量228gの世界最小・最軽量の変形型月面ロボットで、JAXAの月着陸機「SLIM」に搭載され、2024年1月20日(日本時間)に月面に着陸したSLIMの画像に撮影ならびに地球への送信を行うなど、日本初となる月面着陸ミッションに貢献したことも話題となった。
また、ビジネスの観点としても、SORA-Qに搭載されたソニーセミコンダクタソリューションズが開発・販売するIoT用ボードコンピュータ「SPRESENSE」の機能や信頼性を検証を踏まえた研究利用および製品販売の促進にも貢献したこと、ならびにタカラトミーが1/1スケールモデル「SORA-Q Flagship Model」として商品化、店頭などでの販売に加え、180以上の学校/科学館への配布や約40地域での展示/出張授業などといった教育活動での活用も進められたことが実績として評価された。
JAXAでは、今回の変形型月面ロボットの取み組みについて、4者にとって重要な成功事例であり、JAXA宇宙探査イノベーションハブの活動においても貴重な知見の獲得につながったとしており、変形型月面ロボットに続く新たなイノベーションを目指して、「宇宙探査」と「宇宙/地上でのビジネス・社会課題解決」の双方に有用(Dual Utilization)な技術や価値の創出および宇宙/地上での利用の拡大を進めていきたいとコメントしている。