ロームは、自動運転などの進展で需要が増えている高速車載通信システム向けに、CAN FD対応の双方向TVS(ESD保護)ダイオード「ESDCANxxシリーズ」を開発。信号伝達の劣化を抑え、電子機器の保護性能向上も特徴とする。11月から月産50万個の体制で順次量産を開始しており、サンプル価格は1個100円(税抜)。

  • ESDCANxxシリーズ

CAN FD(CAN with Flexible Data rate)は大容量データのやり取りが可能で、車内のECU(電子制御ユニット)間でリアルタイムかつ安全なデータの送受信に不可欠な通信技術。こうした高速車載通信システムは、自動運転や先進運転支援システム(ADAS)の進展に伴い、需要が増大している。

新製品のESDCANxxシリーズは、CAN FDなどの高速通信において伝達信号を劣化させることなく、サージや静電気放電(ESD)からECUなどの電子機器を保護することで、高品質な車載通信を追求したもの。

SOT-23(2.9×2.4mm)とDFN1010(1×1mm)の2種類のパッケージを用意しており、それぞれ24Vおよび27Vのスタンドオフ電圧(VRWM)に対応し、以下の計8製品をラインナップする。

SOT-23パッケージ(4機種)

  • 24V対応「ESDCAN24HPY」「ESDCAN24HXY」
  • 27V対応「ESDCAN27HPY」「ESDCAN27HXY」

DFN1010パッケージ(4機種)

  • 24V対応「ESDCAN24YPA」「ESDCAN24YXA」
  • 27V対応「ESDCAN27YPA」「ESDCAN27YXA」

ESDCANxxシリーズは素子構造を最適化し、不要な容量成分であり高速通信時の信号劣化にもつながる端子間容量を最大3.5pFまで低減している。また、高い耐サージ特性も追求しており、車載環境における電子機器の保護性能を大幅に引き上げたとする。

具体的には、DFN1010パッケージで提供する27V対応品では、CAN FD対応の相当一般品と比較してサージ耐量が約3.2倍に向上し、クランプ電圧も約16%低減。これにより、車載ECUなどの高価でサージに敏感な電子機器を効果的に保護し、過酷な車載環境でも高い信頼性を提供するとしている。