NXP Semiconductorsは11月12日(米国時間)、電気自動車(EV)の組み立ての簡素化やバッテリーのエネルギー密度向上、機械系統と電気系統の開発切り離しによる市場投入期間短縮などを可能とするUWB(超広帯域無線)機能を備えたワイヤレスBMS(バッテリ・マネジメント・システム)ソリューションを発表した。
EVに搭載されたバッテリーセルの電圧や温度などの情報をバッテリ管理ユニットに無線で送ろうという試みは、ワイヤハーネスの削減、それに伴う空きスペースへのさらなるバッテリーの搭載による走行距離の延伸などといったメリットをもたらすことが期待されている。同ソリューションは、UWBを活用することで、そうしたメリットを実現するもので、バッテリパック内の複雑なワイヤハーネスの使用を最小限に抑え、ミスが発生しがちな製造時の手作業を減らすことができるため、EVの組み立ての効率化とライフサイクル・コストの削減を図ることができると同社では説明しているほか、バッテリセル間のコネクタや配線が不要になるため、EVの設計と性能の重要な指標であるエネルギー密度が向上し、航続距離も延長できるともしている。
また、UWBでは高帯域幅パルスを使用しており、Bluetooth Low Energy(BLE)などで用いられている2.4GHzの狭帯域で使用される変調キャリア周波数(正弦波信号)とは異なることから、反射や周波数選択性フェージングに対する耐性が高く、狭帯域ベースのソリューションよりも堅牢性と信頼性の高いデータ転送が可能になるとしているほか、同社のFlexComチップセットの一部として、有線/無線技術をサポートしているため、OEMやTier 1サプライヤはさまざまなビークル・アーキテクチャやテクノロジを選択することが可能となり、有線と無線の両方のBMSコンフィギュレーションでソフトウェア・アーキテクチャと安全ライブラリが共有化されているため、異なるプラットフォーム間でソフトウェアを再利用することができ、開発に伴う負担を軽減することも可能だとしている。
なお、NXPでは今回発表したUWBワイヤレスBMSソリューションを2025年第2四半期から評価および開発用としてOEMへの提供を開始する予定だとしている。