Texas Instruments(TI)は10月25日、日本の会津工場にGaNベースのパワー半導体製造ラインを設置、稼働を開始させたことを発表した。これにより、同社のGaNパワー半導体の社内製造能力は、米国テキサス州ダラスの既存GaNパワー半導体製造拠点と併せて、4倍に引き上げられることになるという。

会津工場に導入されたのは200mm GaNテクノロジーで、同工場の稼働により、2030年までに社内製造の比率は95%以上に達する見込みだという。

GaNパワー半導体はSiCパワー半導体とならび、シリコンベースのパワー半導体を上回るエネルギー効率やスイッチング速度、高耐圧、耐熱性能などを有しており、すでにUSB充電器などで活用が進められている。TIは現在、高電圧から低電圧に至るまで、GaNベースの統合型パワー半導体で構成された幅広いラインナップを提供しており、そのGaNチップは独自のGaN-on-Siプロセスを通じて、信頼性テストで8000万時間以上の長さを達成し、統合された各種保護機能により、電圧システムの安全を維持できるよう設計されているという。

また、新たな製造ラインではGaNチップ製造に利用可能な最先端クラスの装置を使用することで、製品の性能と製造プロセスの効率を向上させており、コスト面でも優位性を得ているとする。

この性能上の利点により、同社ではGaNチップの対電圧対応に向けて拡張することができるとしている。最初は900Vを目標とし、段階的により高い電圧へと引き上げていくとしている。

なお、同社では投資拡大の一環として、すでに2024年初頭に300mmウェハ上にGaNを製造するプロセス開発の試験運用に成功済みとしており、GaN製造プロセスを300mmウェハへと全面的に移行することが可能で、将来的な300mmへの移行も視野に入れているとしている。

  • TIのGaNデバイス

    TIのGaNデバイス (出所:TI)