7月8日から10日までの3日間、虎ノ門ヒルズフォーラムでは日本発の国際宇宙ビジネスカンファレンス「SPACETIDE 2024」が開催される。今回が9回目の開催となる同イベントは、アジア太平洋地域(APAC)をはじめとする世界各国から宇宙産業に携わる人々が集結する“宇宙ビジネスの最前線”の場。宇宙航空研究開発機構(JAXA)を退職し宇宙ビジネス企業へと活躍の場を移した若田光一氏が登壇するなど、今年も注目のセッションが目白押しだ。

  • 日本発の国際宇宙ビジネスカンファレンス「SPACETIDE 2024」が開催される

    7月8日からの3日間、日本発の国際宇宙ビジネスカンファレンス「SPACETIDE 2024」が開催される(出所:SPACETIDE)

その開催に先んじて、SPACETIDEは同カンファレンスに関するメディア向け事前説明会を開催。代表理事兼CEOの石田真康氏らが登壇し、開催の概要や参加者数の見通しなどを語った。

9回目の今年は「APACから世界へ」がテーマ

世界各国で宇宙利用に対する関心が高まっており、宇宙機関を有する国が年々増加するとともに、宇宙関連企業の数も増え続けている。また近年では、宇宙をメインのビジネス領域とする企業だけでなく、さまざまな業種の企業が宇宙業界へと参入する動きも活発化している。

SPACETIDEは、急速な成長を続ける宇宙ビジネスのニュートラルハブとなることを目指して始動し、2015年には最初のカンファレンスを開催。以来、毎年のように開催を続け、今回のSPACETIDE 2024が9回目の開催となる。

今年のテーマは「APACから世界へ:多様なコミュニティが紡ぐ宇宙ビジネス」。JAXAの小型月着陸実証機「SLIM」による月面高精度着陸成功をはじめ、さまざまな宇宙関連のニュースが相次いだ日本をを舞台として、宇宙ビジネスの成長期を迎えているAPACから世界へと飛び出すための新たな潮流づくりを目指すとする。また今回は、初めてテーマの中にAPACや世界などの地政学的な表現を使用したとのこと。その背景には、“グローバルコミュニティとリージョナルコミュニティの融合”をSPACETIDEとして重視していることがあるとした。

  • タグラインの変遷

    SPACETIDEにおけるタグラインの変遷(出所:SPACETIDE)

若田宇宙飛行士など世界中から160名のキーパーソンが登壇

今回のSPACETIDEでは、30以上の国・地域から集まった160名のキーパーソンが登壇するさまざまなセッションが予定されている。なおセッション会場は2か所(TRACK A・B)用意されており、TRACK Aではグローバル視点での宇宙産業の在り方を、一方のTRACK BではAPACや日本などよりリージョナルな内容を中心に講演が展開される。

具体的に見ていくと、1日目は世界の宇宙産業およびセキュリティ・安全保障に関わる宇宙利用にフォーカス。宇宙の持続可能性などについても語られる。続く2日目には、近年注目が集まる地球低軌道(LEO)から月までの領域におけるトレンドに迫るセッションと並行して、日本の宇宙産業におけるビジネスリーダーが多数登壇。ここではJAXAから米・Axiom Spaceへと活躍の場を移した若田光一宇宙飛行士が、山崎直子宇宙飛行士とともに“民間宇宙飛行士”について議論する時間も設けられている。そして3日目は、宇宙産業とBtoCビジネスをはじめとする地上産業との連携可能性についても展望。またAPACにおける宇宙産業の可能性についても語られる。

  • セッションの大テーマ

    各日程におけるセッションの大テーマ(出所:SPACETIDE)

SPACETIDE理事兼COOの佐藤将史氏は、カンファレンスの内容について「さまざまな国籍の方々、また宇宙産業内外の幅広い分野からキーパーソンを招いている。また企業のエグゼクティブレベルはもちろん、海外を含め政府の重要人物なども数多く集まり、充実したラインナップになっている」と紹介した。

  • 若田宇宙飛行士と山崎宇宙飛行士による対談セッションも

    会期2日目には若田宇宙飛行士と山崎宇宙飛行士による対談セッションも(出所:SPACETIDE)

石田CEOは“過去最大規模になることを確信”

石田CEOは、「開催の準備を進める中でも、過去最大規模のカンファレンスになることを確信している」と語り、国内外および宇宙産業内外から数多くの参加者が集う見込みであることから、「多様な方々が集まって、宇宙産業の未来を語り合うことができるイベントになるだろう」と手ごたえを感じているとする。そしてSPACETIDE 2024の参加者たちに向けて、「一個人として宇宙ビジネスの“今”を体感できる3日間になることを願っている」と呼びかけた。

また佐藤COOは、「過去最多となったスポンサー企業のラインナップを見ても、海外企業の割合が格段に大きくなっている」と話し、その傾向はカンファレンス参加者にも同様に見られるとする。そして参加者数の目標を1500名と掲げ、現状での申し込み状況を鑑みてもその達成を大いに期待できると説明した。