Coltテクノロジーサービスは6月5日、グローバル成長戦略に基づき、アジア6カ国(フィリピン、台湾、ベトナム、タイ、マレーシア、インドネシア)で事業を拡大すると発表した。これに伴い、同社はグローバルおよびアジアの事業戦略について説明を行った。
Lumen Technologiesとの戦略提携により米国までカバレッジ拡大
初めに、最高事業責任者(Chief Commercial Officer)のアネット・マーフィー氏が、グローバルの事業戦略について説明した。同氏は、Lumen TechnologiesでEMEAおよびAPAC地域の社長を務めていた。
マーフィー氏は、同社が通信事業者からグローバル・デジタル・インフラ企業へ遂げており、そのためにさまざまな施策を実行している。その一つが、2023年に実施された米Lumen TechnologiesのEMEA(ヨーロッパ、中東、アフリカ)ビジネスの買収、同社との戦略的提携だ。これにより、EMEAのビジネスが拡大し、北米での足掛かりを作った。同社は英国に本拠を置く企業であるため、これまではヨーロッパを中心にビジネスを進めてきた。
LumenのEMEA事業買収により、「34カ国125都市を結ぶ1,630,031キロメートルのファイバー」「10の海底ケーブル」「23カ国と中東に広がる11,000 キロメートルのメトロエリアネットワーク」が同社のインフラに加わった。
マーフィー氏は、グローバル戦略について、「グローバルになることがなぜ重要か。なぜなら、ヨーロッパの企業はアジアに拠点を持っているので、アジアに進出する必要がある。香港にはEMEAの企業の拠点がたくさんあるので、同じレベルのサービスを提供する必要がある」と語っていた。
第4四半期に東南アジア6カ国でサービス提供開始予定
続いて、アジア太平洋地域社長の水谷安孝氏が、アジア太平洋地域の事業戦略について、説明を行った。
水谷氏は最近の動向として、ハイパースケーラーおよび一般企業の双方において、生成AIによってネットワーク需要が加速していることを紹介した。具体的には、「データセンター間接続」「閉域網オフィス接続」「インターネット接続」の3つのカテゴリーで需要が伸びているそうだ。
同社はこうしたニーズに対応するため、世界275カ所を超えるクラウドアクセスポイントに接続できる体制を構築している。水谷氏は、「サービスを提供するにあたっては、その国のネットワークやマーケットの理解が必要になるが、われわれは商習慣、言語も踏まえて提供できる」と語った。
そして、さらにカバレッジを広げるため、今回東南アジア6カ国でのサービスを開始する。水谷氏は、東南アジアに参入する理由について、次のように説明した。
「日本企業の多くが東南アジアに展開しているので、東南アジアでサービスを提供することで、日本企業のグローバル展開の後押しとなると考えている」
水谷氏は、同社のアドバンテージとして3点挙げた。1つ目は包括的なグローバル対応だ。同社が自社ネットワークと提携パートナーのネットワークをグローバルで統合することで、複数の地域をまたいで包括的なサービスを提供できる。
顧客は、同社にサービスを申し込めば、利用したい地域のサービスを自由に利用できる。同社を利用しない場合、顧客は国ごとにサービスプロバイダーと交渉して契約を結ぶことになる。
2つ目のアドバンテージはサービスレベルの標準化だ。地域ごとにバラつきの見られるサービスレベルを標準化することで、グローバルネットワークの管理をシンプルにする。
3つ目のアドバンテージは戦略的な価格設定だ。戦略的なパートナーの規模の経済を活用することにより、用途に合わせた柔軟な価格設定を実現するという。
なお、水谷氏によると、これまでもリクエストベースでは東南アジアでサービスを提供しており、都度、現地の業者として交渉していたという。今回、東南アジア市場におけるサービスレベルやプロセスを構築して、第4四半期に、6カ国で一斉にサービスを提供開始する予定だという。