ルネサス エレクトロニクスは1月25日、低コストのアナログ用ケーブルやコネクタでHDビデオ映像伝送を可能とするオートモーティブHDリンク(AHL)対応製品として、4つの入力ソースを同時に処理できる4チャネル対応AHLビデオデコーダ「RAA279974」を発表した。

同社のAHL技術は、変調アナログ信号を用いて映像を伝送する技術で、HD信号をデジタル伝送する場合と比べ、必要な伝送レートは約10分の1であり、非シールドのツイストペアケーブルや標準コネクタで、最大30mの伝送距離に対応できるという。既存の標準画質のアナログビデオケーブルとコネクタも使用でき、非シールドのツイストペアケーブルを使用することでコスト削減に加え、車両内の配線容易化を図ることができるようになるとしている。

またアナログ信号を活用することで、ノイズや干渉に対してデジタルのように映像が途切れることなく、良好なライブ映像の送信が可能で、より高い安全性を実現することも可能だとしている。

MIPI-CSI2、BT656、DVPの各入出力信号処理に対応しており、HD映像では最大1080p/30fps、VGA映像では最大720p/60fpsの解像度をサポート(アスペクト比も柔軟に対応可能)、圧縮を必要としないため、低遅延での伝送も可能といった特徴があるという。また、PLLを内蔵しており、27MHzの水晶クロックのみで、高解像度に必要なクロック周波数を生成できるといった部分でもコスト削減効果が期待できるとしている。

なお、同製品はすでにサンプル出荷を開始しているとのことで、評価ボードに加えて、これと組み合わせて使用できる、4台のカメラと4つの1チャネル対応AHLエンコーダ「RAA279971」を搭載したカメラキット「RTKA279974ZK0000BU」も提供を開始しており、これらを活用することで早期のシステム開発、評価が可能になるとしている。

  • 4チャネル対応AHLビデオデコーダ「RAA279974」のパッケージイメージ

    4チャネル対応AHLビデオデコーダ「RAA279974」のパッケージイメージと車両適用イメージ (提供:ルネサス)