ベルギーの独立系半導体ハイテク技術研究機関であるimecは、新しい半導体材料、システム、持続可能な半導体製造の研究開発について米パデュー大学と提携覚書を締結するとともに、自動車産業向け半導体技術の共同推進に向け米ミシガン大学とも覚書を締結したことを発表した。imecは両大学のキャンパス内に研究拠点を設置し、スムーズなコラボレーションと充実した知識の共有をサポートするとしている。
米国での活動としてimecは、米国フロリダ州に研究拠点を設置し、研究活動を行ってきたが、今回の提携はこの活動を補完し、半導体のイノベーションを促進することを目指し、米国のアカデミアとの協力を拡大するという次のステップを踏み出すものになるという。
imecのLuc Van den hove CEO兼社長は、パデュー大学キャンパスで、ベルギー・フランドル地方政府プレジデントのJan Jambon氏とパデュー大学Mung Chiang学長の立会いの下、共同研究開発ラボの開所イベントに出席。imecとパデュー大学の研究者が協力して新しい半導体技術の開発と実証を行い、高性能コンピューティングデバイスの次の波の基礎を築くことを目指すと宣言。この共同研究により、半導体技術とシステムをより持続可能にするためのイノベーションを起こしたいとする意気込みも語った。
ミシガン大学と車載半導体の研究を推進
またミシガン大学とは、主に自動車産業に利益をもたらす半導体材料とシステムアーキテクチャに関する共同研究を実施する覚書を締結した。
ミシガン大学は、自動車とマイクロエレクトロニクスの研究における長年にわたる専門知識と、米国の自動車エコシステムの中心に位置することから、この分野の研究には理想的なパートナーだとimecは述べている。
また、ミシガン大学のSanta Ono学長は、「ミシガン大学とimecの研究協業は、自動車産業と半導体産業を結び付け、将来のモビリティのためにより信頼性が高く、エネルギー効率が高い強力な半導体ソリューションを開発することを可能にしてくれる」と述べている。
日本では大阪大学とさらなる連携へ
このほか、日本においてimecは、大阪大学(阪大)産業科学研究所と2011年11月に包括共同研究契約を締結し、それ以降、研究者派遣による共同研究や、ベルギー・オランダと日本で毎年交互に国際シンポジウムを開催するなど、密接な関係を構築してきた。
そうした関係が構築される中、阪大全体としてimecとのさらなる連携に向けて2023年11月、Luc Van den hove CEOをはじめとするimec首脳陣と、阪大の西尾総長、阪大産業科学研究所の関野徹所長ら阪大首脳陣が会談を行い、部局単位から医学部を含めて大学全体における連携という「第2ステージ」に移行することについて合意したことを発表している。具体的には、ライフサイエンス、先端半導体実装、スマート農業などでの連携強化について今後、協議を進めていく予定としている。
なお、imecの大阪オフィスは、阪大 産業科学研究所内に設置されている。