TSMCは12月19日、同社会長のMark Liu(劉徳音)氏が、次期取締役会選挙に参加せず、2024年6月の年次株主総会後に退任する予定であると発表した。

TSMC取締役会の指名・企業統治・持続可能性検討委員会は、TSMCのCEO兼副会長のC.C. Wei(魏哲家)氏を新たな会長に推薦することを決めているという。これに伴い、Wei氏は、2024年6月に次期取締役会が選出することを条件として次期会長に就任する予定だという。

  • 2024年に退任予定のTSMC会長のMark Liu氏

    左が2024年に退任予定のTSMC会長のMark Liu氏、右が新たに会長に就任する予定のC.C.Wei氏 (出所:TSMC)

TSMCのMark Liu会長は、カリフォルニア大学バクレー校で電気工学分野の博士号取得後、米Bell LabsやIntelに勤務。その後、1993年にTSMCに入社し、エンジニアリング担当副部長、先端技術担当SVPなどの要職を経て、2012年に共同COO、2013年に共同CEO兼社長、2018年に会長に就任している。

同氏は退任にあたり、TSMCの社員の貢献に感謝するとともに、今後の身の振り方について「数十年にわたる半導体の経験を他のことに役立て、家族ともっと時間を過ごし、人生の次の章を始めたいと考えている」と述べている。

一方、2024年6月の年次株主総会後に新たに会長に就任する予定のWei氏は、Yale大学で博士号を取得後、Texas InstrumentsやSTMicroelectronicsに勤務。その後、シンガポールChartered Semiconductor(現GlobalFoundries)の技術担当SVPに就任した後、1998年にTSMCに入社。ビジネス開発SVPを経て、2012年に共同COO、2013年に共同CEO兼社長、2018年にCEOに就任している。

Liu氏、Wei氏ともに米国での高等教育を受けた後、グローバルな半導体企業で経験を積んでからTSMCに入社した点が共通している。

台湾の半導体業界関係者によると、TSMCの経営陣の後継者教育は徹底しているので、トップ人事に変更があっても同社の今後の方針や戦略におおきな変化はないとみられるという。