Intelが2024年以降に投入を計画している次世代CPU「Lunar Lakeプラットフォーム」のCPUチップレットをTSMCの3nmプロセスの派生形の1つ「N3B」で製造する模様だと台湾の経済日刊紙である經濟日報が報じている。
それによると、tGPU(tile GPU)およびNPUについてもTSMCの3nmプロセスでの製造委託が、、高速I/Oチップレットについては5nmで製造委託がなされており、TSMCはIntelの次世代CPUの主要チップレットの注文のほとんどを受けることになったとみられるという。この量産は2024年の上半期にも開始される予定だという。
かつてTSMCはIntelからAtom CPUを製造受託したことがあったほか、最近はtGPUや高速I/OチップなどメインストリームのCPU以外の製造も受託するといったコラボレーションの加速が進みつつあるが、台湾の半導体業界関係者からは、Intelが主流プラットフォームのCPUを社内での生産から外部委託する方向にシフトするのであれば、将来、さらに進んだ両社のコラボレーションにつながる可能性がでてきたとの見方がでている。
AMDはTSMCとSamsungのデュアルソースを活用か?
一方、Intelの競合であるAMDは、Zen5cコア(開発コード名:Prometheus)で、TSMCの3nmプロセスをSamsungの4nmプロセスを同時に利用する「Dual Foundry Mode」を採用する可能性があると台湾TrendForceが報じている。
Samsung Electronicsが、従来のモバイル分野への依存度の高さからの脱却を目指し、AI半導体や車載半導体分野の顧客拡大を進める計画を立てており、その中の取り組みの一環で、AMDのAI半導体「Instinct MI300 シリーズ」にHBM3とのパッケージング技術を提供することでも合意に達しているとも見られている。Samsungは現在、TSMCの高度パッケージング技術「CoWoS」と競合することを目指したパッケージングソリューション「SAINT(Samsung Advanced Interconnection Technology)」の準備を進めており、高性能半導体ニーズの取り込みを加速させようとしている。Samsungのファウンドリ事業(Samsung Foundry)の主な売上構成は現在、モバイル54%、HPC19%、自動車11%となっており、Samsungはハイパースケーラーや自動車メーカー(OEM)などにもアプローチをかけ、こうした高度パッケージング技術などをアピールしつつ、4nmプロセス採用のAI半導体やEV向け5nmプロセスSoCなどを提供することで、モバイル分野以外の売り上げを伸ばす算段だという。
AMDがTSMCとSamsungのデュアルソースを選択するのは、TSMCのみに依存するリスク軽減に向けた戦略的な措置とみる業界関係者もいる。伝えられるところによると、Samsungの4nmプロセスは主にPrometheusのベースバージョンに利用され、TSMCの3nmプロセスがハイエンドバージョンに採用される予定だという。
AMDとSamsungの提携が成功すれば、他の企業もSamsungに製造委託する可能性が高まるものと見られるが、Samsungの3nmプロセスではなく4nmプロセスを採用するのは潜在的な歩留まりの問題が原因である可能性が指摘されている。また、実際にAMDがDual Foundry Modeを採用するかどうかは公表されていない。