レゾナックは11月22日、米国カリフォルニア州シリコンバレーに半導体のパッケージングおよび材料の研究開発センターの開設を予定し、導入設備などの調査、準備を開始したと発表した。

半導体市場は2030年には1兆ドル規模を超えるとも予想されるなか、急拡大を続ける生成AIをはじめとしたAI技術の進化も加速しており、それを支える最先端の半導体技術の多くがIntelやNVIDIAといった米国半導体メーカーが集積するシリコンバレーで生み出されている。また、近年では生成AIサービスを含めクラウドサービスを展開するGAFAMに代表される大規模クラウドサービスプロバイダーが自社サービスに最適化したAI半導体を自身で開するといった動きもでてきた。

そうした状況を踏まえ、レゾナックはそれら半導体技術のコンセプトリーダーが集うシリコンバレーに、半導体の先端パッケージ材料技術の研究開発センターであるパッケージングソリューションセンター(PSC)の新設に向けた検討を開始することを決めた。PSCは日本国内では新川崎で実績があり、300mmウェハや500mm角パネルに対応するレーザーダイシングや微細配線形成が可能な最新鋭の設備などを備え、2.xDや3D半導体パッケージなどの最先端プロセス・材料に関する試作・評価を一貫して行うことができる拠点として、世界的な半導体メーカーから注目を集めている。2023年も上半期だけで世界150社からの訪問があったという。こうした活動をより広げていくため、同社は米国への拠点開設を決定。AI半導体をはじめとした最先端半導体のパッケージング技術の最新コンセプトおよびトレンドをリアルタイムに捉え、材料開発に反映させていくことを計画している。

現在、すでに導入設備の調査検討および準備を進めており、今後クリーンルームや設備を導入した後、2025年度の運用開始を予定するとしている。

日本企業初となるテキサスの半導体コンソーシアムへの参画

レゾナックは、米国テキサス州にある半導体コンソーシアム「Texas Institute for Electronics(TIE)」に日本メーカー、また材料メーカーとして初めて、戦略パートナーとして参画することも発表した。

TIEは、米国テキサス大学オースティン校が主導する非営利団体で、テキサス州や半導体・防衛エレクトロニクス企業、国立研究所、学術機関の官民で構成されており、半導体の最先端技術のロードマップを5年早め、米国で最先端の技術を生み出すことを目的としている。

米国の大手半導体メーカーであるIntel、Micron、AMD、Applied Materials(AMAT)などが戦略的パートナーとしてすでに参画している。レゾナックは、(1)先端構造の半導体に使用する前工程から後工程までの材料を揃えていること、(2)半導体のパッケージに特化して研究開発を行うパッケージングソリューションセンターを所有していることやその知見、(3)半導体関連企業で構成されたコンソーシアム「JOINT2」の運営実績の3点が評価され、参画要請をうけた。TIEに戦略パートナーとして参画するのは、日本メーカーでも、材料メーカーでも同社が初めてのことであるという。

TIEは2024年後半から2.xDおよび3Dパッケージの試作ラインを立ち上げる計画である。レゾナックはTIEへの参画により他社との共創を図り、最先端技術の研究・開発を進め課題解決に寄与することを目指すとしている。

  • TIEが実現を目指すヘテロジニアス集積の3Dパッケージング

    TIEが実現を目指すヘテロジニアス集積の3Dパッケージング (出所:TIE)