2023年11月15日から17日までパシフィコ横浜にて開催していた事業変革を推進するための最新技術とつながる総合展「EdgeTech+ 2023」で、コンガテックはコンピュータ・オン・モジュールを利用した最先端の組み込みコンピュータ技術を展示していた。

中でも特に注目を集めていたのが、PICMG(PCI Industrial Computer Manufacturers Group)のコンピュータ・オン・モジュール(COM)規格に沿って開発され2023年10月に承認されたばかりのクレジットカードサイズのCOM「COM-HPC Mini」で、COM Express Miniなど同等のスモール・フォーム・ファクター(SFF)規格の上位に位置付けられている。

  • 「COM-HPC Mini」の外観

    「COM-HPC Mini」の外観

COM-HPC Miniは、同社が得意とするハイパフォーマンスな性能は落とさず、可能な限り小型の標準規格モジュールを目指した作りとなっており、「COM-HPC Client」シリーズや「COM-HPC Client Server」シリーズに次ぐ製品となっているという。

  • 組み込みCOM-HPCシリーズの展示

    組み込みCOM-HPCシリーズの展示

特徴としては、COM-HPC Client規格をベースにしており、その寸法は95mm×70mmと小型化されたことが挙げられ、これまでサイズの制限により対応できなかったアプリケーションへも対応させることができるようになったとする。

また、400ピンのハイスピードコネクタを搭載しており、PCIe Gen5や10Gbpsイーサネット、USB 4.0といった最新の高帯域幅インタフェースを提供することができるほか、COM-HPC Clientと比較して放熱の定格も小さくなるにも関わらず、最大消費電力は76Wまで対応可能としており、パフォーマンス向けのプロセッサにも十分に対応できるとしている。

さらに、キャリア表面からモジュールとヒートスプレッダまでの高さはほかのCOM-HPC規格の20mmではなく5mm低くなった15mmとしたことでスリムな設計が可能になるとしている。ただし、はんだで直付けされたメモリが必要となるが、直付けにより衝撃や振動に対して高い耐久性を実現できるほか、ヒートスプレッダとの組み合わせるによる冷却効率の向上も可能になるという。

同社ブースの展示の中には、普通の人は普段見る機会が少ないであろう産業用デバイスの中身やノートパソコンに使われるマザーボードなども展示されていた。特徴的だったのは、放熱のためのヒートシンクの存在で、ファンを使う場合、機械的な故障やほこりなどがたまってしまい、熱が逆にこもって発火の要因となったりして危険なため産業用デバイスはフィンのみで熱問題を解決する必要があるため、さまざまなニーズに対応するヒートシンクを用意しているのだという。

  • 産業用のデバイスの中身のイメージモデルの外観

    産業用のデバイスの中身のイメージモデルの外観。横についている黒い部分が放熱用のヒートシンク

  • ノートパソコンなどで使用されるファンのサンプルの外観

    ノートパソコンなどで使用されるファンのサンプルの外観

同社ブースではほかにも、AIで目視検査の工数や精度を向上させることができるソリューション「HACARUS Check」も展示されており、特に自動車産業など高い歩留まり率が要求されている業界ではNGのサンプルを集めることそのものが困難であるが、このソリューションを活用すれば、良品学習でAIモデルを構築できるため少ないサンプル量でNGのサンプルを検出できるようになるため、人員削減や業務効率化に役立つとしており、すでにファナックのロボットとのコラボレーションも実現済みで360度完全自動検査などに活用されているとのことだ。

  • 「HACARUS Check」のデモンストレーションの様子

    「HACARUS Check」のデモンストレーションの様子。少ないサンプル量で高精度に異常部分を検出している