Chatworkは11月14日、中小企業の経営者(社長)とバックオフィス担当者を対象に実施したDX(デジタル・トランスフォーメーション)、SaaS、リスキリングの実施状況・意向調査の結果を発表した。これによると、中小企業の7割はSaaSを聞いたことがないと回答し、また経営者の意識では40代から経営者の意識に大きな違いが現れ、「リスキリングの必要性を感じない」との回答が6割を占めている。

同調査は同社が10月20日~23日にかけて、従業員数300人以下の中小企業の社長とバックオフィス担当者を対象にインターネットにより実施したものであり、有効回答者数は社長が1055人、バックオフィス担当者が1070人の計2125人。

  • 調査結果の概要 出典: Chatwork

DX、リスキリング、SaaSに関する理解度および認知状況を従業員規模別に見たところ、全ての項目で中小企業(従業員規模300名未満)は「意味を理解しており、他の人に説明できる」との回答が1割前後に留まっている。

  • DX、リスキリング、SaaSの認知度(企業規模別) 出典: Chatwork

企業規模と認知度の差を見ると、SaaSについて「聞いたことがない」との回答は、従業員1000人以上の大手企業では39.1%だったのに対して、中小企業では70.6%と31.5ポイントの差があった。

また、中小企業の経営者の回答を年代別に比較したところ、40代以降では6割超が「聞いたことがない」と回答している。

  • SaaSの認知度(中小企業、社長の年代別) 出典: Chatwork

DXの実行状況を経営者の年代別・従業員の平均年齢別に見たところ、経営者の年代がステップの進捗に相関がある。

  • DXの実行状況(経営者と従業員の年代別) 出典: Chatwork

業界別では、物流業界と宿泊・飲食業界でほとんどデジタル活用していない「ステップ0」が7割を超えた。

  • DXの実行状況(業界別) 出典: Chatwork

デジタル化を進める上での課題を尋ねたところ、「金銭面のコストが大きい」が、社長の34.4%、バックオフィス担当者の35.6%と、いずれも3割を超え最多だった。

  • デジタル化推進の課題(複数回答) 出典: Chatwork

SaaSの利用状況と意向も経営者の年代が相関しており、「既に導入し、活用している」との回答は、30代(60.0%)と40代(35.4%)で24.6ポイント、「導入する意向はない」で30代(5.7%)と40代(30.7%)で25ポイントの差があった。「導入意向がない」と回答が最も多かったのは60代で、43.1%だった。

  • SaaSの利用状況と意向 出典: Chatwork

「SaaSを既に導入し、活用している」という回答者に利用中のサービスの種類を尋ねたところ、Web会議システムが45.1%と最多であり、以下、経費精算(30.7%)、チャットツール」(30.3%)が続く。

  • 導入しているSaaSツール(複数回答) 出典: Chatwork

利用中のSaaSの種類ごとに従業員の使いこなし状況を聞くと、「ほぼ全員が使いこなしている」「6〜7割が使いこなしている」の合計が最も多いのはグループウェア(76.2%)であり、以下、チャットツール(74.1%)、ワークフロー(71.1%)の順だった。

  • SaaSの使いこなし度合い 出典: Chatwork

リスキリングの実行状況および意向を見たところ、目的や状況は関係なく、企業規模が小さくなるほど、実行・意向ともに低下する傾向にある。

実行している割合が最も低かったのは300人未満の企業であり、DX目的の場合では4.3%に留まっている。 また、「必要性を感じていない」との回答が最も多かったのは、300人以下かつDXを目的としたリスキリングへの意向で、55.7%だった。

  • リスキリングの実行状況と意向(従業員規模別・目的別) 出典: Chatwork

DX対応を目的とするリスキリングについて、中小企業の社長の回答を年代別に集計したところ、「必要性を感じていない」の割合は、70代が69.5%で最も多く、50代が59.7%で続く。

  • リスキリングの実行状況と意向(300人以下の企業の社長・年代別/DX対応目的) 出典: Chatwork

DX目的のリスキリングに必要性を感じていないと回答した社長に、その理由を尋ねると。「訓練・教育しても、活用する具体的な業務がないから」が最も多く、「とても当てはまる」「まあ当てはまる」の合計が44.7%だった。

  • リスキリングが必要ない理由 出典: Chatwork