キヤノンITソリューションズ(キヤノンITS)は10月30日、製造現場や倉庫などでの設備異常監視コスト低減と精度向上を実現する「ANOMALY WATCHER」を11月1日から販売開始すると発表した。また、設置環境や発生する事象に応じた試行に対応するモニターライセンスの提供も併せて開始する。

  • 異常検知の概要

    異常検知の概要

製造業における生産や製品評価工程においては想定外のトラブルに起因して、発煙や発火/液漏れなどが発生することで多大な損害につながることがあるため、監視の仕組みが不可欠だという。

設備の稼働環境によっては24時間体制での対応が求められるケースもあり、目視監視に伴う要員確保や配置コスト/教育コストが課題となっているほか、監視習熟度により精度にバラつきが生じ、長時間のモニター監視による身体的負担にもつながることから、人手による監視の代替手段が求められている。

ANOMALY WATCHERは、ネットワークカメラを活用してリアルタイム映像と正常時との差分を画像処理によって検出し、即時アラートを上げる異常監視システム。

正常状態として登録した基準フレームとリアルタイム映像フレームとの特徴量の類似度を算出し、類似度の閾値設定に基づいて異常検知アラートを発報する。

機械学習型のAI画像処理を応用したシステムとは異なり、事前に異常映像を収集し学習させる手間が不要となり、監視単位となるグリッド幅や色味の変化、輪郭の変化など複数パラメータの検知感度を設定するだけで、すぐに自動監視をスタートすることができる。

  • 画像処理のイメージ

    画像処理のイメージ

監視カメラの映像は1万3000種類以上のデバイスをサポートするビデオ管理ソフトウェア「Milestone XProtect」が受信し、異常検知処理を行うとともに録画管理も行うため、通常の監視カメラシステムとしても利用を可能としている。

また、監視用のカメラ/PCを含む必要機材一式を貸し出して、設置を検討する現場での試行ができるモニターライセンスの提供も併せて開始し、現場への設置および検知設定もサポートする。

主なユースケースとしては、施設の天井・壁面や配管からの液漏れ、部品落下の検知、工場の製造装置や評価試験装置からの発煙・発火を検知、人だけでなく鳥や猫のような小動物、食品倉庫への昆虫の侵入などの検知を想定している。

  • 水滴の検知イメージ

    水滴の検知イメージ

価格は、いずれも税別でモニターライセンスが7万6000円~、永続ライセンスが70万円(検知アプリケーションライセンス費用のみ、別途カメラ/PCなどハードウェア費用、XProtectライセンス費用が必要)~。

今後、キヤノンITSのAI検査プラットフォーム「Visual Insight Station」との連携によるインテリジェント検知やサーバレス構成の追加などを計画し、製品のさらなる機能強化を行う考えだ。