TOPPANホールディングスと富士通は10月18日、医療分野の研究開発に資するための匿名加工医療情報に関する法律(次世代医療基盤法)における医療ビッグデータを活用した研究開発の推進や、新たな産業および事業の創出による健康長寿社会の実現を目指して、医療ビッグデータ事業を共同で推進するための業務提携契約を締結したことを明らかにした。

今回の提携により、匿名加工された電子カルテデータベースに、TOPPANホールディングスの分析技術と富士通のデータクレンジング技術を組み合わせることで、より高精度な医療ビッグデータの分析と、研究開発や診療を支援するサービスの提供を進めるという。

また、TOPPANホールディングスは日本医師会医療情報管理機構(以下、J-MIMO)によって匿名加工された電子カルテデータを、医療情報分析・提供サービス「DATuM IDEA」に導入する。その際に富士通のデータクレンジングプラットフォームを経由することで、病院ごとに異なるデータ形式の診療データを構造化できるようになるという。これにより医薬品の安全性・有効性評価を加速し、より効率的な医薬品開発やデータベースを用いた個別化医療の実現を目指す。

富士通は匿名加工された電子カルテデータを活用して、製薬企業および医療機関向けのSaaS(Software as a Service)型分析サービスの開発を進める。医薬品開発プロセスの効率化、医療の質向上への寄与を目指して、診療データ可視化やアドホック分析などのサービス開発のほか、予測や予兆などの医療AI(Artificial Intelligence:人工知能)モデルの研究開発での活用も推進する予定。

さらに両社は医療機関およびJ-MIMOと連携して、電子カルテに格納される医療情報に加えて、退院時のサマリー、看護記録、手術記録など、これまで利活用されていなかったデータ項目を収集し、分析に活用する項目および電子カルテデータの量を増増やしていく方針だ。これによりより詳しく患者の状態を把握し、患者一人ひとりにおける個別化医療の実現に貢献する。