SEMIが世界各地で開催しているエレクトロニクス製造サプライチェーンの国際展示会の台湾版となる「SEMICON Taiwan 2023」が9月6日より8日までの期間、台湾・台北市の南港展覧館1館と2館で開催されている。台湾を中心に、日本や米国など世界中から半導体関連企業950社が3000小間のブースを出展し、過去最大規模での開催となっている。

台湾を10年以内に世界のIC設計センターに、台湾首相が表明

台湾行政院の陳建仁院長(首相)は9月6日、SEMICON Taiwanに出席し、半導体産業の発展を支援するため、台湾政府は国内産業に先見性のある革新的技術の開発への投資を奨励すると述べた。台湾行政院によると、同首相は、台湾を10年以内に国際的なIC設計センターに育てる「クリスタル台湾プロジェクト」を計画している模様で、台湾が世界最大のファウンドリビジネスの本拠地としてだけではなく、ICの設計でも国際的な中心的存在を目指す方向性が示されたこととなる。

  • SEMICON Taiwan 2023の開会式の様子

    SEMICON Taiwan 2023の開会式の様子(中央の人物が台湾の陳建仁 行政院院長) (出所:台湾行政院プレスリリース)

  • SEMICON Taiwan 2023の展示会場を視察する陳建仁首相

    SEMICON Taiwan 2023の展示会場を視察する陳建仁首相 (左列の最前列中央) (出所:台湾行政院プレスリリース)

また、開催前のSEMI主催記者会見にて、台湾シリコンウェハメーカーであるGlobal Wafers(GWC)の徐秀蘭 董事長は、「顧客企業の2023年第3四半期(7〜9月)の業績に好転の兆しがみられるものの、稼働率は低下しており、まだ在庫調整が続いているようだ。半導体市場は2024年第1四半期か第2四半期に回復軌道に戻るだろう」との予測を示したと台湾の各メディアが報じているほか、SEMIのマーケット・インテリジェンス・チーム(MIT)シニア総監である曽瑞榆氏が、「半導体市場の景気は2023年第2四半期に底打ちしたものの、在庫消化の速度が遅く、最終市場の需要回復が遅れている」と述べたとも伝えている。

さらにApplied Materials(AMAT)の台湾子会社「台湾応用材料(AMT)」の余定陸 総裁は、「AIがもたらす演算やメモリ需要だけでなく、自動車に搭載される半導体の数も大幅に増加するので、2030年における半導体生産額は1兆ドルを突破するであろう」との予測を示したほか、ASE Technology Holdingの呉田玉COOは、「半導体業界は在庫調整が続いており、世界経済も不確定要素が多く短期的には困難な時代ではあるものの、長期的な半導体需要は健全である。AIや自動運転などの応用で、今後10年は人と機械が協業する『PMMP(People-Machine-Machine-People)』時代が到来し、半導体産業は大きく成長する」との予測を示した。

こうした台湾半導体業界の経営者たちの話を総合すると「半導体産業の市場回復は当初の予想よりも遅れており、回復軌道に乗るのは2024年前半にずれ込むが、10年単位の長い目で見れば成長は確実」ということになりそうだ。