中SMICが2023年第2四半期(4~6月)の決算を発表した。それによると売上高は前四半期比7%増、前年同期比18%減の15億6040万ドルとなったという。
半導体需要の減速に伴う主力のスマートフォン(スマホ)や家電向けの不振となり、電気自動車(EV)向けなどが伸びたものの、全体の落ち込みをカバーできなかったという。また、国・地域別では中国企業向けが約80%となり、米国企業向けが約18%、欧州・アジア企業向けが約3%となっており、海外企業向け売り上げも落ち込んでいる。
同四半期の稼働率は前四半期から10ポイント増の78.3%まで回復。併せて生産能力の拡大も続けており、月産規模は前四半期の約73万2300枚(200mmウェハ換算)から約75万4300枚(同)まで増加したとする。同社では、300mmウェハの需要が200mmウェハの需要を上回っているとするほか、200mmウェハも業界平均を上回る需要があるとしている。
2023年第3四半期については、売上高が前四半期比3%~5%増の見込みとしているほか、下半期は上半期比で改善すると予想しており、継続して技術研究開発とプラットフォーム開発の強化を進め、迅速な新製品の提供とサポートの強化により、次の成長サイクルに向けた体制を整えていくとしている。
7月に新会長人事を発表
SMICでは、2023年7月にそれまでの高永崗氏が董事長(会長に相当)、執行董事(執行役の取締役)などの職を辞任し、副董事長兼執行董事の劉訓峰(Liu Xunfeng)氏が新たな董事長に就任する人事を行っている。2021年9月に当時の董事長だった周子学氏が退き、当時の最高財務責任者(CFO)であった高永崗氏が代理董事長となり、2022年3月より正式に董事長に就任していた。
劉訓峰氏は、2023年5月に中国の国策半導体ファンドである国家集成電路産業投資基金からの推薦を受けて副董事長兼執行董事としてSMICに入社。上海化成工業団地発展公司(SCIP)の副会長や、中国人民政治協商会議第14期全国委員会の委員、中国石油化学工業連合会の副会長、上海先端材料学会会長などを務めるなど、石油化学業界に精通し、企業経営においても30年以上の経験を有しているが、半導体業界での手腕は未知数である。
Huaweiの5Gスマホ向けSoCを製造か?
米国の輸出規制の影響から米国などの企業から5G向け半導体の入手が困難となったHuaweiが、子会社HiSiliconが設計した5G向けSoCをSMICに製造委託し、それを搭載したハイエンド5Gスマホを年末までに発売するのではないかという噂が中国内ででている。
中国の半導体業界に詳しい関係者によると、この5G向けSoCは米国などの規制対象となる製造装置を使わずに製造されていると見られる。その場合、例えば7nmプロセスでの加工にはマルチパターニングが必要となるが、工程数の増加による高コスト化、低歩留まり化といった課題がでてくる。また、中国企業製の製造装置のみを使った専用製造ラインの構築も進められているという話もあるが、米国の対中規制が強化される中にあって、中国勢が微細化に関する情報を外部に公表しなくなってきており、詳細は不明である。
なお、台Digitimes Asiaによれば、中Saiwei Electronicsが5Gスマホにも適用可能なBAW(Bulk Acoustic Wave)フィルタの量産に成功した模様だが、こうした動きもありHuaweiが5Gスマホを発売するのでは、という憶測を呼んでいる一面もあるようである。