経済産業省(経産省)は7月4日、日本の西村康稔 経済産業大臣とブルトン欧州連合(EU)委員(域内市場担当)が会談したこと、ならびに半導体に関する協力覚書を締結したことを発表した。

  • 西村経産大臣とブルトンEU委員と半導体に関する日欧協力覚書を締結式

    西村経産大臣(右)とブルトンEU委員(左)と半導体に関する日欧協力覚書を締結式 (出所:経済産業省)

この協力覚書は、半導体について、サプライチェーンの混乱に対処するための早期警戒メカニズムの構築や次世代半導体に関する研究開発、人材育成、最先端半導体のユースケースの創出、および半導体分野における補助金の透明性確保に向けた取り組みに関するもの。会談では、サイバーセキュリティやDFFT具体化、量子技術などをはじめとするデジタル分野における日本とEUの協力体制構築について、引き続き両者のデジタルパートナーシップの下で連携していくことを確認したとするほか、重要鉱物、バッテリーなどの分野におけるサプライチェーン強靭化や、宇宙・防衛産業の今後の連携強化に向けて議論を行ったとしている。

今回の半導体に関する協力覚書の要点としては、日本とEUは、半導体サプライチェーンに関する情報の共有を視野に、早期警戒メカニズムを実現し、半導体サプライチェーンに対する混乱の解決に向け協力するとしている。

また、半導体や次世代半導体の製造に不可欠な構成要素の研究開発として、PFAS(ペルフルオロアルキル物質・ポリフルオロアルキル物質)などのフッ素系化学物質の代替品に関する共同での働きかけや、覚書署名後に双方が特定を予定する共通の関心事項に関する追加的な議題に関する綿密な協力を行っていくとしている。

さらに研究開発協力に向けた最良の資金提供の可能性を見出すために、共同研究プログラムを実施する予定であるとしており、暫定的にEU側では半導体共同事業(Chips Joint Undertaking)の支援を受け、また日本側では関連制度の下で、そのような協力を計画することを提案するとしているほか、研究開発協力のさらなる議題の特定に向け、継続して定期的な会合を開催していく予定だとしている。

このほか、半導体産業における高度な能力を促進するための緊密な協力を確立することを目指し、それぞれの働きかけ、および関連する能力プログラムに関する詳細な共有やそれぞれのスキルの長所と短所についての知識を深め、そのために参加者が相互に利益を得ることができる、または一緒に構築できる共通点と補完性の側面についての知識の獲得、相互の利益および関心分野において、日・EU共同能力構築イニシアチブの促進と推進に向けて取り組むことを目的とした、半導体に関連する能力についての日・EUワークショップの開催などを実質することを予定しているとする。

加えて、そうしたワークショップを通じて、最先端半導体の幅広い活用についての重要性を認識し、そのユースケース創出に関する交流を促進するともしているほか、補助金の透明性が競争の場を平準化する重要な手段であることを認識し、半導体セクターにおいて与えられている公的支援に関する具体的な情報の共有を進め、日本とEU相互で情報提供する共通のメカニズムを設置することで、透明性を高めていく予定だともしている。