エレクトロニクス分野の商社である菱洋エレクトロとリョーサンは5月15日、同日開催のそれぞれの取締役会において、経営統合の実現を目指すことについて基本合意することを決議し、両社間で基本合意書を締結したことを発表した。

現在、エレクトロニクス業界を取り巻く社会環境は、IoT化やデジタル化、デジタルトランスフォーメーション(DX)への取り組みなど、新たなテクノロジーの活用に向けた動きが加速しており、そうした環境変化に伴い、エレクトロニクス商社に求められる機能や役割も変化が求められるようになっているという。

また、地政学リスクや半導体メーカーのM&Aに伴う商社間競争の激化などもあり、両社は2022年春ごろより、それぞれが置かれている状況や目指すべき方向性について共有、理解を深めていく中で、両社間における事業上のシナジーの可能性について議論を重ね、両社で強固な連携を築き、それぞれの強み・特長を組み合わせることで、両社の新たな成長機会を創出、実現できるとの結論に至り、互いの株式の持ち合いなどをはかり、両社間の交流活性化、ならびに幅広いアライアンスのあり方や事業上のシナジーの具現化に向けた協議を重ねてきたという。その結果、収益力や業務効率の向上を最大限に発揮するには、それぞれが個々で対応するよりも、対等の精神の下で両社の経営統合を目指すことが必要であると判断、今回、基本合意を締結することに至ったと説明している。

具体的な統合の流れとしては、両社の株主総会の承認および経営統合に行うにあたって必要な関係当局の許認可などを得ることを前提として、2024年4月1日をめどに実行する予定としているが、統合の具体的な方法および経営統合後の体制などについては、両社での協議および検討、今後実施するデュー・デリジェンスの結果などを踏まえ、経営統合に関する最終契約締結までに決定するとしている。

なお、両社は、取り扱い商材や顧客の重複が限定的であることを踏まえ、統合によって規模の拡大による強固な経営基盤の確立や生産性・経営効率の向上に留まらず、取り扱い商材の相互拡販(クロスセル)や新たな価値創出につながるビジネスモデルの構築を推進し、顧客や市場全体が抱える課題などの解決につながるソリューションを創出する新たなエレクトロニクス商社像の実現を目指していくとしている。

  • 統合によって得られるメリットのイメージ

    統合によって得られるメリットのイメージ (出所:菱洋エレクトロ/リョーサン)