中国最大のNANDサプライヤである長江存儲科技(YMTC)が、米国の対中半導体輸出規制に対抗し、中国製半導体製造装置を用いて先端NAND製品の生産を目指していると香港の英字新聞「South China Morning Star」が4月23日付けで報じている。

それによると、YMTCは中国最大の半導体装置メーカーである北方華創科技集団(Naura Technology)や5nmプロセス向け先端エッチング装置やALD装置を手掛ける中微半導体設備(AMEC)などに製造装置の大量注文を行い、3D NANDの生産を本格的に再開しようとしているとのことで、同紙では「YMTCの国産化プロジェクトが成功すれば、中国の半導体は自給自足の突破口を見いだすことができ、米国の制裁は力を失うことになる」と分析している。

YMTCは2022年に、競合他社に先んじて232層の3D NANDの開発に成功していたが、米国による規制強化に伴い、米国から半導体製造装置の輸入ができなくなった。このためYMTCでは、従業員の一部を解雇するなど、リストラを実施したほか、生産ラインの建設も中断させており、半導体業界からは2024年以降、同社が先端NAND市場から姿を消すのではないかといった憶測も出ていた。

苦境に陥ったYMTCは2023年初めに中国国営投資会社3社から70億ドルの投資を受けており、それを元手に独自技術と中国製半導体製造装置で再起を図る模様である。流れとしては、しばらくは従来世代の3D NANDを生産して経験を重ね、その後、先端3D NANDの生産に再び乗り出す可能性が高いという。

米商務省のエンティティリストに記載された結果、米国製半導体の購入が困難になっているHuaweiも、日本人をはじめとする米国外のプロセス・装置・材料技術者の採用を進めているほか、中国の半導体製造装置メーカーへ資金提供を行うといった形で、半導体の内製を上海にて始めている模様で、将来的には量産工場を新センに建設する可能性も取りざたされているが、その詳細は一切明らかになってはいない。

YMTCのほか、SMICやHuaweiなども中国において自給自足の半導体製造を目指しており、中国の半導体製造装置メーカーは好況を迎えているという。例えば、北方華創や中微半導体設備の2022年売上高は2017年比で、それぞれ6倍、5倍に増加した模様であり、旺盛な需要を背景に北方華創は2024年の稼働を目指し、北京で新規生産ラインの構築を進めているという。また、こうした中国市場の活況を受け、EFEM(Equipment Front End Module:製造装置の手前に設置してFOUPから装置内部へウェハを受け渡す装置)を手掛けるローツェも、中国におけるEFEM製造能力を拡大させている。

なお現在の中国には、IntelといったデバイスメーカーやApplied Materials、Lam Researchといった装置メーカーで経験を積んだ米国帰りの技術者が大勢いるほか、日本から各種半導体技術者のリクルートも進めるなどして、年々、国内の技術レベルを向上させており、米国が対中半導体規制を強化すればするほど、中国内での自給自足が促進されていくことになる可能性が懸念される。