欧州連合(EU)は4月18日(欧州時間)、域内の半導体供給力を強化する産業支援策を盛り込んだ「欧州半導体法案(European Chips Act、欧州版CHIPS法)」の内容について、各国代表による欧州理事会と欧州議会が暫定的に合意に達したと発表した。ただし今後、理事会と議会双方によって最終決定および承認され、正式に採択される必要がある。

欧州版CHIPS法では、現在10%程度にとどまる欧州での半導体生産シェアを2030年に20%に高めることを目標を掲げ、官民あわせて430億ユーロを投じる計画である。EU自体の投資額は33億ユーロで、残りを各国政府や民間投資で賄うとする。こうした点から、日本の全額政府負担の半導体投資と比較するのは公平ではないことに注意する必要がある。EUは、これまで原則として個別民間企業への補助金支給を禁じてきたが、半導体分野では例外的に認めることにした。

EU執行機関の欧州委員会(EC)は同日の発表で、最近の半導体不足は台湾や米国などEU域外の限られた企業への依存を浮き彫りにしたと分析し、経済安全保障の観点からEU域内での半導体生産を強化する方針を示し、当面、TSMCやIntelなど海外有力メーカーの誘致をめざすとしている。また、EUは半導体市場を監視する枠組みも創設して加盟国が連携して半導体の供給状況を監視し、今後の需要を予測して不足に備えることにしている。